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悪の反復は、心を蝕む――一度の過ちを習慣にするな


目次

■原文(日本語訳)

人がもしも悪いことをしたならば、それを繰り返すな。悪事を心がけるな。悪がつみ重なるのは苦しみである。
(『ダンマパダ』第九章「悪」第117偈)


■逐語訳(一文ずつ訳)

  1. 人がもしも悪いことをしたならば、それを繰り返すな。
     → 仮に過ちを犯してしまっても、それを再び繰り返してはならない。
  2. 悪事を心がけるな。
     → 悪を思い、計画し、意図して行うような心の習慣を持ってはならない。
  3. 悪がつみ重なるのは苦しみである。
     → 悪行が重なるごとに、その人の心と人生は苦しみへと堕ちていく。

■用語解説

用語解説
悪いこと他者を傷つけたり、自他を損ねる行為。嘘、不正、怠惰、怒り、貪りなど。
繰り返す同じ過ちを意識的・無意識的に再度行うこと。
心がける日常的に意識してその方向に思考・行動を向けること。
積み重なる繰り返されることで心の癖となり、習慣化すること。
苦しみ(ドゥッカ)心の不安、恐れ、後悔、混乱などを含む精神的・業的苦痛。

■全体の現代語訳(まとめ)

人は誰しも過ちを犯すことがある。しかし、それを放置したり繰り返したりすれば、やがて悪が習慣となって心を蝕む。だからこそ、一度の過ちに気づいたら、同じことを繰り返さず、悪意を意識的に手放すことが大切だ。悪を積み重ねていくことは、やがて本人に深い苦しみをもたらすという警告がこの偈に込められている。


■解釈と現代的意義

この偈は「一度の失敗では人は壊れないが、繰り返すことで自分を壊す」ことを示しています。
習慣化された悪――たとえば、遅刻・不正・陰口・逃避など――は、最初は些細なことに見えても、繰り返されるうちに心に根を張ります。
現代社会では、倫理感がぼやけやすい環境や誘惑も多いですが、「一線を越えた自分を正当化しない」姿勢が、人格の保全と成長に不可欠です。


■ビジネスにおける解釈と適用

テーマ応用解説
ミスへの対応一度のミスを反省し、対策して終えるか、言い訳して繰り返すかで信頼度は大きく変わる。
習慣の恐ろしさ小さな不正や怠慢も、繰り返されると「当たり前」になり、組織文化を腐敗させる。
反省の機会の活用過ちがあったときは、それを「改善の契機」として活かす姿勢が、自己修養となる。
心の方向性外形的な成果よりも「どんな思いで行動しているか」が長期的な結果を左右する。悪意を持ち込まない心づくりが重要。

■心得まとめ

「過ちは繰り返すな。小さな毒でも、積もれば心を壊す」

一度の失敗よりも、それを繰り返すことの方が、はるかに危険である。
過ちは誰にでもある。しかし、それを自覚し、繰り返さず、正すこと――それが人としての成長の道。
日々の小さな判断が、やがて大きな運命を決定する。
だからこそ、「悪を積むなかれ」とのブッダの声に、日々耳を傾けたい。


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