静けさに帰す者――智慧は沈黙にあらわれる

2025年6月24日

📜引用原文（日本語訳）

第七章　真人（しんにん）九六偈
「正しい知慧によって解脱して、やすらいに帰した人――そのような人の心は静かである。ことばも静かである。行ないも静かである。」
――『ダンマパダ』第七章第96偈

語句	解説
正しい知慧（般若）	真理を見抜く智慧。迷いや錯覚を超えた認識の力。
解脱	煩悩・執着・無知からの完全な自由。悟りの完成。
やすらいに帰した人	心の動揺や葛藤を脱し、内なる平安に至った者。
心・ことば・行ないが静かである	内外の一貫した安定。思考、発言、行動のすべてが揺るぎない穏やかさに包まれている状態。

真理に目覚め、迷いから解き放たれ、心のやすらぎに帰った人は、その内面の静けさがあらゆる面に表れる。
その人の心は静まり、ことばは慎ましく、行動もまた無理なく落ち着いている。

この偈文は、「外見の静けさは、内面の完成のあらわれ」であることを説いています。
知識や技術があるだけでは不十分で、本当に知慧を得た人は、心が整い、言動も穏やかになるというメッセージです。

現代では、声の大きさや即応性が評価されがちですが、本当に成熟した人物は、むしろ沈黙と安定を身にまとっているのです。

観点	実務的応用
思考の静けさ（心）	混乱した状況でも冷静な判断ができる人は、信頼と決断力を兼ね備えている。
発言の慎み（ことば）	必要なときに、必要なだけ語る。慎重な言葉が周囲に安心感と尊敬をもたらす。
行動の落ち着き（行ない）	慌てず、焦らず、一貫した行動を取ることで、周囲をリードする。
内面の調和が与える影響	自分の中に平安がある人は、周囲の緊張や争いを和らげ、空気を変える力がある。

「静けさは、最も深い完成のしるしである」

『ダンマパダ』第96偈は、知慧によって悟りに至った者は、あらゆる場面で静けさを放つと説きます。
それは言葉少なに、けれども確かに、周囲に影響を与える力です。
ビジネスにおいても、騒がず、慌てず、惑わず――そうした存在が、最終的にもっとも信頼されるリーダーとなります。

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