目次
📖 引用原文(日本語訳)
自分のためにも、他人のためにも、子を望んではならぬ。
財をも国をも望んではならぬ。
邪なしかたによって自己の繁栄を願うてはならぬ。
(道にかなった)行ないあり、明らかな知慧あり、真理にしたがっておれ。——『ダンマパダ』第六章「賢い人」第84偈
🔍 逐語訳
- 自分のためにも、他人のためにも、子を望んではならぬ:自分の欲や他人の期待に基づいて、執着の対象(たとえば子ども)を望むべきではない。
- 財をも国をも望んではならぬ:富や支配権など、外的・権力的な欲望にとらわれてはならない。
- 邪なしかたによって自己の繁栄を願うてはならぬ:不正や欺瞞によって自分の利益を得ようとしてはならない。
- 行ないあり、明らかな知慧あり、真理にしたがっておれ:正しい行動と明晰な智慧を持ち、真理(ダルマ)に従って生きることが大切である。
🧾 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
望む | 強い願望・執着。所有欲・達成欲に関連する。 |
邪なしかた | 不正・欺瞞・搾取・嘘・暴力など、道に反した手段。 |
自己の繁栄 | 名声、成功、利益、影響力などの個人的向上。 |
明らかな知慧(パンニャー) | 物事の本質を見抜く洞察力。煩悩に惑わされない真の理解。 |
真理(ダルマ) | 仏教の教え、宇宙と人生の根本的な法則、道理。 |
🌐 全体の現代語訳(まとめ)
自分自身のためであっても、他者のためであっても、子ども・財産・国家といったものへの執着を抱くべきではない。不正な手段で自分の繁栄を願うのもまた、避けなければならない。正しい行いと清らかな智慧をもって、真理に従って生きることこそが、賢者の道なのである。
🧑🏫 解釈と現代的意義
この偈は、**「私利私欲や執着の否定」**を通して、清らかな生き方を説いています。現代においては、成功・利益・社会的承認が重視される中で、いかに自分の行動が“正しいか”よりも“得か損か”で判断されがちです。しかしこの教えは、結果や所有ではなく「手段の正しさ」こそが本質であると強調します。道を外れた成功に本当の価値はないのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
テーマ | 解釈と応用 |
---|---|
倫理的な意思決定 | 短期的利益のために不正や誤魔化しを行えば、信頼を失う。道にかなった判断が長期的な成果を生む。 |
私益と公益のバランス | 自社や個人の利益だけでなく、取引先・顧客・社会への影響を考える“倫理経営”が求められる。 |
評価基準の再定義 | 財や地位の獲得よりも、「どう生きたか」「何を大切にしていたか」が真の評価基準となる。 |
リーダーの模範性 | 不正な道をとらず、知恵と正義を軸に行動するリーダーが、社員・部下に安心と信頼をもたらす。 |
🧭 心得まとめ
「正しい道は細くても、まっすぐに歩め」
私利私欲にとらわれず、他人の期待にも振り回されず、不正の手段には頼らない。清らかな行いと深い智慧を持ち、真理に従って生きる――それが、静かに輝く“賢者の繁栄”である。
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