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無明は人生を長く苦しみにする


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■引用原文(日本語訳)

眠れない人には夜は長く、疲れた人には一里の道は遠い。
正しい真理を知らない愚かな者どもには、生死の道のりは長い。
——『ダンマパダ』第5章 第60偈


■逐語訳

  • 眠れない人には夜は長く:不眠の苦しみの中では、たとえ短い夜であっても果てしなく感じられる。
  • 疲れた人には一里の道は遠い:肉体的な疲労は、短い距離でも長く困難な道のように感じさせる。
  • 正しい真理を知らない愚かな者どもには、生死の道のりは長い:真理を知らぬ愚者には、輪廻の苦しみの道が永く続く。

■用語解説

  • 一里(いちり):古代インドの距離単位。ここでは「短い距離」の象徴。
  • 眠れない人:比喩的に「心の平安を欠いた者」。
  • 疲れた人:比喩的に「煩悩や苦悩に押しつぶされた者」。
  • 愚かな者(バーラ):仏法に無知な者。欲望に支配され、真理に背を向けた生き方をする人。
  • 生死の道のり(サンサーラ):生まれては死ぬという輪廻転生の果てしない連鎖。

■全体の現代語訳(まとめ)

眠れぬ夜が長く感じられるように、疲れた人にとっての短い道のりが果てしなく感じられるように、人生において真理を知らずに生きる者にとっては、苦しみに満ちた生死の輪廻は永遠に続くように思える。つまり、智慧を欠いた生き方は、苦しみを終わらせる機会をつかめず、無限の苦の繰り返しとなる。


■解釈と現代的意義

この偈は、人生の苦しみの根源は「無知(無明)」にあると説いています。
真理を知らず、気づきや自己省察のないまま流されて生きる人間は、どれだけ歳月を重ねても心の解放に至らない。
この「愚かさ」とは学歴や知識量ではなく、「気づこうとしない姿勢」のことです。
つまり、人生の本質に気づかぬまま過ごす時間こそが、人生を“無意味に長く”苦しいものにしてしまうのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
自己認識の欠如組織や業務の問題の本質に気づかず、目先の対処ばかりしていると、苦しみは長引く。
無計画な努力ゴールや方向性を理解しないままの働き方は、「疲れて進まない長い道」となる。
学ばない姿勢問題が繰り返される背景には、学習や改善の欠如がある。これは「真理を知らない」愚かさと同じ。
感情に流される判断一時の苛立ちや焦りで判断を誤れば、不要な苦労を長引かせてしまう。

■心得まとめ

「心が目覚めねば、人生は苦しみの輪廻となる」
表面的な忙しさに流されず、自分の行動や感情の背後にある「本質」に気づこうとする姿勢が、苦しみを短くし、人生を意味あるものに変える。
無知を恐れず、学びと省察によって智慧を得ようとする人だけが、長い“夜”を越えて、朝の光を見ることができる。

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