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香のなかの香、それは徳の香り


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■引用原文(日本語訳)

第四章 花 第五十五偈

栴檀(せんだん)、タガラ、青華(うこん)、ヴァッシキー、
これら香りのあるものどものうちでも、
徳行の香りこそ最上である。
― 『ダンマパダ』第4章 第55偈


■逐語訳(一文ずつ)

  1. 栴檀、タガラ、青華、ヴァッシキー、
     → よく知られた芳香を放つ植物や花々――栴檀(香木)、タガラ(芳香草)、青華(ウコンの花)、ヴァッシキー(強い芳香の花)などは、
  2. これら香りのあるものどものうちでも、
     → たとえどれほど香り高いものであっても、
  3. 徳行の香りこそ最上である。
     → 人格と行いの美しさ(徳行)から生じる香りこそが、最も優れている。

■用語解説

  • 栴檀(せんだん):香木の一種。芳香で仏教文化や儀礼で重用される。
  • タガラ:インド原産の芳香植物。薬用・装飾用に用いられる。
  • 青華(うこん):色鮮やかで香気を持つ花。仏教世界では清浄の象徴でもある。
  • ヴァッシキー:インド神話でも知られる高貴な香りの植物。
  • 徳行(ぐぎょう):戒律・思いやり・誠実・謙遜・寛容など、善き行いの総称。
  • 香り:ここでは実際の香気だけでなく、「人徳」「道徳的影響力」「内面の品格」などの象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

栴檀やタガラなど香り高い花や木がいかに芳しいとしても、それらを超えて最も尊く香るのは、徳のある行いから放たれる「人間の香り」である


■解釈と現代的意義

この偈は、「真に価値あるものは、目に見えず、香りもしないが、人の心に届くものである」という深い教えを説いています。

美や香りは時間とともに消えますが、人格から発せられる信頼・安心感・尊敬は、むしろ時間とともに高まる香りです。
仏陀はここで「徳こそが最高の香りである」と明言し、行いの尊さがすべての装飾・贅沢を超えることを強調しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
本質的価値の重視商品の装飾や広告より、誠実な顧客対応・社会的責任・倫理的経営がブランドの香りを決定づける。
人の評価スキルや肩書きより、日々の行い・誠実な対応・謙虚さが長く評価され、信頼を生む。
組織文化外面的な制度より、働く一人ひとりの「徳」が組織の空気を形作り、社内外に香りのように伝わっていく。

■心得まとめ

「最上の香りは、口にも衣にもなく、心と行いに宿る」

仏陀は、私たちにこう問います――「何をもって、自分の香りを残すか?
芳香な花々を超えるのは、徳ある行動です。その香りは目には見えずとも、すべての方向に、永く、確かに薫るのです。

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