目次
■引用原文(日本語訳)
第四章 花 第五十偈
他人の過失を見るなかれ。
他人のしたこととしなかったことを見るな。
ただ自分のしたこととしなかったこととだけを見よ。
― 『ダンマパダ』第4章 第50偈
■逐語訳(一文ずつ)
- 他人の過失を見るなかれ。
→ 他人の間違いや欠点を探すことに心を向けるべきではない。 - 他人のしたこととしなかったことを見るな。
→ 他人の行動の有無に執着し、裁いたり評価したりすることをやめなさい。 - ただ自分のしたこととしなかったこととだけを見よ。
→ 自分の行為と、自分がやるべきだったのに怠ったことについて、注意深く内省しなさい。
■用語解説
- 過失(アヴァジャーナ):他人の誤り、欠点、失敗など。批判や非難の対象となるもの。
- したこととしなかったこと:行動・努力・貢献や怠惰・無為。行動の有無とその意味。
- 見よ(パッサ):注意を向けよ、観察せよ。内省的に見ることを指す。
- 他人:家族・職場・社会など、あらゆる「他者」。
■全体の現代語訳(まとめ)
他人のミスや欠点に目を向けるのではなく、自分自身の言動と行動の不足に目を向けなさい。それが心の成長と智慧への道である。
■解釈と現代的意義
この偈は、内省と自己責任の精神を強く促す教えです。
人はとかく他人のミスや怠慢に目を向け、批判や比較に走りがちです。しかし、仏陀は「真の成長は、自己を見つめることから始まる」と教えます。
これは現代にも通じる教訓であり、自己改善こそが最も確実で、かつ唯一コントロール可能な成長手段であることを示しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
チームワークと信頼 | 同僚や部下のミスに注目するより、自分の対応や貢献の在り方を見直す方が、信頼関係が築ける。 |
リーダーシップ | 「部下が動かない」と嘆く前に、「自分は十分に支援し、示しているか」を問う姿勢が真のリーダーを育てる。 |
パフォーマンス改善 | 他人の評価に気を取られるより、自身のKPIや未達タスクに集中する方が、結果としてチーム全体の成果が上がる。 |
■心得まとめ
「鏡を見る者は、他人を責めない」
仏陀は、他人の行動に一喜一憂するより、自らの行動に責任を持つことの大切さを説いています。
自分にできることに集中し、過去の行いを見直し、今なすべきを実行する――その姿勢が、人格と成果の両面を磨く道です。
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