目次
■引用原文(日本語訳)
第四章 花 第四十八偈
花を摘むのに夢中になっている人が、
未だ望みを果たさないうちに、
死神がかれを征服する。
― 『ダンマパダ』第4章 第48偈
■逐語訳(一文ずつ)
- 花を摘むのに夢中になっている人が、
→ 快楽・美しさ・感覚的なもの(象徴的に「花」)に心を奪われている者は、 - 未だ望みを果たさないうちに、
→ 自分の願いや計画、目標をまだ成し遂げていないままに、 - 死神がかれを征服する。
→ 死(マーラ、死王)がその人を突然奪い去ってしまう。
■用語解説
- 花を摘む:欲望の対象に心を奪われている様子。美・快楽・富など、儚いものを追い求める姿勢を指す。
- 夢中になっている人:自己反省を欠き、外的な楽しみに心を取られている人。
- 未だ望みを果たさないうちに:人生の目的、仕事、修行、目指す理想を実現する前に。
- 死神(マーラ):仏教における死と欲望の象徴。突然人を奪う存在で、解脱を妨げる力として描かれる。
- 征服する:圧倒的な力で打ち勝つ、抗えない運命を暗示。
■全体の現代語訳(まとめ)
快楽や目先の楽しみに耽っている人は、まだ人生の目標や大切な目的を果たしていないうちに、死によって人生を終えられてしまう。それは前触れもなく、そして容赦ない。
■解釈と現代的意義
この偈は、「死は誰にとっても予告なく訪れる」という無常観を改めて突きつけます。
私たちは「まだ時間がある」と思いがちですが、実際にはそれがどれだけ残っているかは誰にも分かりません。したがって、本当に大切なことに集中して生きることが求められています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
時間管理・優先順位 | 無駄なことに時間を使っているうちに、最も重要な課題や目標を達成する機会を失う可能性がある。 |
長期ビジョンの軽視 | 短期的な利益や快楽に傾倒すると、本来のビジョンや目的を果たせずに終わる危険がある。 |
決断と行動の遅れ | 先延ばしにしていた挑戦や転換が、取り返しのつかない状況を招くこともある。後悔のない一歩を今、踏み出すべき。 |
■心得まとめ
「いま、為すべきを果たせ。時は待たない」
「まだ先でいい」「いつかやろう」という思いのうちに、人生の最も貴重な機会は過ぎ去ってしまう。仏陀は、真に価値ある行為を、いまこの瞬間に選び取ることの大切さをこの偈で語っています。
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