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夢中のうちに、死は忍び寄る


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■引用原文(日本語訳)

第四章 花 第四十七偈
花を摘むのに夢中になっている人を、
死がさらって行くように、
眠っている村を、洪水が押し流して行くように。
― 『ダンマパダ』第4章 第47偈


■逐語訳(一文ずつ)

  1. 花を摘むのに夢中になっている人を、
     → 快楽や美しさ(象徴としての「花」)に心を奪われ、現実を忘れている人を、
  2. 死がさらって行くように、
     → 突然、死がその人を奪い去ってしまう。
  3. 眠っている村を、洪水が押し流して行くように。
     → 油断したままの人々が住む村を、前触れもなく大水が襲って一気に流してしまうように。

■用語解説

  • 花を摘む:感覚的な喜び、美しさ、快楽、物欲などに心を奪われること。ここでは仏教的な「世俗的欲望」の比喩。
  • 夢中になっている人:自覚なく執着し、無常や死を忘れて行動している人。
  • 死(マーラ):仏教において「死王」あるいは死の象徴。マーラはしばしば欲望や迷妄と同一視される。
  • 眠っている村:警戒心を失い、日々の変化や危機に気づいていない共同体や個人の状態。
  • 洪水:突然の破滅、死、あるいは予測できない厄災の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

快楽や欲望に耽り、無常や死を忘れて生きる人は、まるで眠っている村人たちのように、突然の死という洪水に襲われてしまう。気づかぬうちに、それは必ずやってくる


■解釈と現代的意義

この偈は、日常の安心や娯楽に耽りすぎることの危険性を警告しています。人生の無常を忘れ、「今さえ良ければいい」という生き方に浸っていると、突如として死や不幸が訪れても対応できないということです。

現代でも、将来の準備・自己管理・内面の省察を怠っていると、リスクや変化に対応できず、あっという間に状況に押し流されてしまう危うさを教えています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
リスク管理好調な時期にこそ「備え」を忘れない姿勢が重要。浮かれていると、突然の市場変化やトラブルに対応できなくなる。
中長期的視点目先の利益や快楽にばかり目を向けていると、将来に備える戦略を見失い、組織の存続が脅かされる。
気づきの習慣忙しさや楽しさに流されず、日々立ち止まって現状を省みることが、危機を回避する鍵になる。

■心得まとめ

「快楽に耽る心に、死は静かに近づいている」

私たちは、楽しい時・順調な時こそ、無常の影を忘れがちです。しかし仏陀は、「眠っている村を襲う洪水のように、死は前触れなくやってくる」と警告します。備える人だけが、押し流されずに生き抜くことができるのです。

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