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■引用原文(日本語訳)
こころはふるい立ち、思いつつましく、行ないは清く、気をつけて行動し、みずから制し、法にしたがって生き、つとめ励む人は、名声が高まる。
(『ダンマパダ』第2章「はげみ」第24偈)
■逐語訳
- 心を奮い立たせて、
- 慎み深く思慮し、
- 行いを清らかに保ち、
- 注意深く行動し、
- 自己をよく律し、
- 法(ダルマ)に従って生き、
- 精進する人は、
- 世にその名が高まる(良き評判を得る)。
■用語解説
- こころはふるい立ち(ウッサーハ):やる気・意欲・奮励の意。精神的エネルギーの立ち上がり。
- 思いつつましく(サンニャータマノ):自制心と内省のある思考態度。傲慢にならず、控えめに考える。
- 行ないは清く(スチカンマ):倫理的・道徳的に潔白な行動。
- 気をつけて行動(サティマー チャ):正念(mindfulness)を保ちながらの行為。
- 法にしたがって生きる(ダンマニユー):仏法や道理に則った正しい生き方。
- 名声が高まる(キールティン・パパウンティ):善行の積み重ねによって社会的な尊敬や評価を得ること。
■全体の現代語訳(まとめ)
心を燃やし、慎みをもって思考し、清らかな行動をとり、注意深く自己を律し、真理(法)に従って日々努力を重ねる者は、やがて世の尊敬と名声を得るようになる――と、この偈は説いています。
名声とは求めて得るものではなく、清く地道な行動の積み重ねによって、自然と生まれてくる結果なのです。
■解釈と現代的意義
この偈は、外的な評価は内なる姿勢の延長であるという、普遍的な因果の真理を示しています。
目立つことを意識せずとも、謙虚さ・節度・誠実な行動・集中力・律し続ける意志――こうした姿勢は、静かに、しかし確実に周囲に伝わり、信頼や尊敬というかたちで返ってくる。
現代のビジネスや社会生活においても、真摯に行動する人間こそが最終的に評価されるという、道徳的リアリズムがここに説かれています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
信頼構築 | 目立つパフォーマンスよりも、丁寧で誠実な言動を続ける人が、長期的に信頼と評価を得る。 |
リーダーシップ | 自制・慎重・倫理的行動を貫くリーダーは、自然と部下からの尊敬を集める。 |
キャリア形成 | 意識の高さ・行動の清さ・継続的な努力が、人の評判と可能性を押し上げる。 |
ブランディング | 会社や商品の“名声”も、派手な広告ではなく、正直で真面目な取り組みから生まれる。 |
■心得まとめ
「静かに積む徳が、やがて高い誉れとなる」
注目されるためではなく、正しく在るために努力し続ける――その姿こそが、名声を生む。
誠実に働き、謙虚に考え、清らかに生きることは、目立たぬようでいて最も力強い発信であり、社会の中で最も深い信頼の源泉となるのです。
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