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修養なき心に、欲はしのび込む


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第一章 第十三偈)

屋根を粗雑に葺いてある家には雨が洩れ入るように、
心を修養してないならば、情欲が心に侵入する。
――『ダンマパダ』 第一章 第十三偈


🔍 逐語訳

  • 雨を防ぐための屋根がしっかりと葺かれていない家には、
  • 雨が漏れ落ちるように、
  • もし人が自らの心を修養せずにいるならば、
  • 情欲(欲望・煩悩)はその心に容易に入り込む。

📘 用語解説

用語解説
屋根を粗雑に葺く準備や防備をおろそかにした状態の比喩。外敵(誘惑)への無防備さを象徴。
心を修養する(バーヴェータ)瞑想・戒律・正思などを通して、心の性質を清らかにし、欲望に流されないよう鍛えること。
情欲(カーマ)見る・聞く・味わう・触れるなどの感覚を通じて起こる執着。五欲の代表的存在。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

家の屋根が不完全であれば、雨が容赦なく家の中に降り込むように、
人が自らの心を鍛えず、無防備にしていると、情欲や誘惑が容易に入り込み、心を支配してしまう。
欲望に強くなるには、欲望を遠ざけることではなく、「心を鍛えて備えること」が必要なのだとこの偈は教える。


🧠 解釈と現代的意義

現代社会は「情報」や「快楽」の雨で満ちています。スマホ・SNS・広告・娯楽など、
あらゆるところに欲望を喚起する要素が潜んでおり、心は常に試されています。
この偈は、誘惑や衝動を無くすことではなく、それに対して備えられる心を育てよと説いています。
つまり、日々の習慣・内省・節度・瞑想・読書などによって、自分の「心の屋根」を整えることが重要なのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
意思決定の健全性衝動的な判断(目先の利益や感情)に流されないよう、思考の習慣を鍛えておくことが必要。
セルフマネジメント欲望や不安に振り回されないために、日々の生活リズム・思考訓練・自省の習慣を整える。
情報過多時代の対応力常に刺激される現代において「心のフィルター」がなければ、誤った価値観に染まってしまう。
組織におけるリスク管理規範や原則を持たない組織は、不正や誘惑に弱くなる。組織文化という「屋根」を構築することが必要。

🪷 心得まとめ

「心の屋根を修める者は、欲望の雨に濡れない」
欲望があることが問題ではない。
欲望に負けないだけの“備え”と“習慣”が、心の浄化を支えるのだ。
雨が降るのは避けられなくとも、それに濡れない生き方は選べる。

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