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日常の人こそ、非常の人 ― 平生がすべてを決める


一、原文(抄出)

公界と寝間の内、虎日前と畳の上、二つになり、俄に作り立つる故、間に合はぬなり。
ただ常々にある事なり。畳の上にて武勇の現るる者ならでは、虎口へも選び出されず。


二、書き下し文(現代仮名)

公的な場と私生活、虎(危機)の前と日常(畳)の上、これらを別々のものとしてしまい、急に体裁を取り繕おうとするから、いざという時に間に合わない。
要は、常日頃どう生きているかである。
ふだんの畳の上(私的・日常の場)で武勇を見せていない者は、虎口(戦いや危機の現場)に選ばれることもない。


三、用語解説

用語意味
公界(こうかい)公的な場、職務の場
寝間の内私生活、プライベートな場
虎日前戦場、緊急事態、極限状態(例:戦の直前)
畳の上普段の生活の場。日常・平時の姿
間に合はぬ間に合わない。準備不足で対応できないこと
常々日頃から、平常時において

四、全体現代語訳(まとめ)

人は、公的な場と私生活、あるいは危機の場面と普段の場面を別々に考えがちである。そして、いざというときに急いで振る舞いを整えようとするが、間に合うはずがない。

本当に大切なのは、日常の生き方である。普段から武勇や誠実さがにじみ出ている者でなければ、危機的状況に際しても、信頼されてその場に選ばれることはない。


五、解釈と現代的意義

この章句は、「非常時に発揮される力は、平常時の積み重ねに宿る」という真理を端的に示しています。特に現代社会においては、以下のような形で適用できます。

  • ✔ 本番はリハーサルの延長:プレゼン、交渉、トラブル対応など「一発勝負」は存在しない。日々の準備と姿勢が勝負を決める。
  • ✔ 真価はオフの時間に現れる:職場では振る舞いを整える人も多いが、私生活や裏側でどう在るかが信用につながる。
  • ✔ 「あの人なら任せられる」は日常から生まれる:信頼は「平時」の態度と行動の積み重ねから生まれ、非常時に発動される。

六、ビジネス応用(実践法)

シーン実践例
✅ 危機管理想定問答・訓練・習慣化によって、非常時に自然と動ける人材を育てる。
✅ 信頼形成報連相・挨拶・丁寧な仕事の積み重ねが「いざという時」に頼られる基盤となる。
✅ リーダーシップ日常的に冷静・誠実・公正であれば、突発事態においても指示が自然に通る。
✅ チーム構築普段から仲間をよく知り、支える行動が危機時の連携力を決定する。

七、心得まとめ

「備えは日常にあり。人は平時にして非常を制す」

・“いつもの姿勢”が“いざの場面”で現れる
・本番で咲く人は、日常で根を張っている
・ふだんの言動が、未来の「信頼」や「抜擢」につながる


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