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命を賭して訴える、真の忠臣の言葉


目次

一、本文意訳(現代語訳)

原文要約と翻訳:

彼(不興を買った近侍)に扇子を見せると、誰が書いたかも知らず破り捨てた。
これを正直に殿に報告すると、「主人の書いた物を破ったとは無礼千万。切腹せよ」と命じられた。

そのとき老臣・神代三左衛門が進み出て、さまざまに意見を申し上げたが、お聞き入れになる様子はなかった。
そこで三左衛門は申し上げた。
「この件だけでしたら、御意に従いましょう。
しかし殿のお心が改まらないのであれば、今後も同様のことが起こりましょう。
私はもう十分に生きてまいりました。今ここでお手討ちにしていただきたく存じます。
この先、こうした無体なことばかり見聞きして生きるなど、生き甲斐がございません。
私をお討ちくだされば、少しは御心をお改めくださるかと思います。どうぞ、私をお手討ちください。」

涙ながらに訴えると、殿はさすがに心を動かされ、
「まことに道理である。お前の志によって、私の心は今、たちまち改まった。
その者の命は助けよ。今後は死罪など申付けぬ」とおっしゃられた。

「本当にそのように心を改められたのですね」と念を押し、三左衛門は退出した。
それ以降、殿は慈悲の心をもって御政道を行われるようになられた。


二、主題と教訓

🔸「心を動かすのは、理屈より“真の覚悟”」

神代三左衛門は、ただ理屈で説いたのではなく、「命を賭してまで訴える」姿勢で主君の心を打ちました。これが結果的に、若き藩主・吉茂公の暴走を止め、「慈悲心」の誕生へとつながる転機となったのです。


三、現代的意義とビジネス応用

観点内容
リーダーシップの暴走抑止企業の上層部が誤った判断を下す際、ただの反対意見ではなく、“共倒れを覚悟で訴える”誠意ある進言が必要となる
コンプライアンス文化の構築下の者が上に進言できる「風通しのよい文化」は、このような“誠の心”が尊ばれることで実現する
心理的影響力の極致プレッシャーや立場を越えた“命がけの誠意”は、相手の防御心を溶かし、「気づき」に変える力がある

四、心得としてのまとめ

  • 忠臣の本懐とは、主君に迎合することではなく、誤りを正すことにある
  • 「ここで止めねば、国は乱れる」との危機感を抱き、命をかけて諫める勇気が、人を変える。
  • 上に立つ者は、命を張ってでも諫めてくれる者こそ最も信頼すべき家臣である。
  • 忠言には、「悲しみ」と「覚悟」を込めよ。ただの反抗や論破では、心は動かない。

🌸結び:「真に忠なる者は、恐れず、惜しまず、己を差し出して道を正す」

このエピソードは、ただの感動譚ではなく、組織における「健全な力の行使」と「諫言の形」を学ぶための金言です。必要に応じて、この教訓をベースに経営倫理研修教材や人材育成資料の形でもご提供可能です。ご希望があればお申しつけください。

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