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真の姿を知れば、恐れは愛に変わる


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■原文(日本語訳)|第11章 第49節

クリシュナは言った。
「私のこのような恐ろしい姿を見ても、戦慄いてはいけない。
心を乱してはいけない。恐怖を離れ、心から喜んで、
あなたは再び前と同じ私の姿を見るがよい。」


■逐語訳

  • マー・テ・ヴィータマ・ヴィヤータム(恐れるな、心を乱すな):怯えず、心を静めよ。
  • ドゥルダルシャム・イーダム・ルーパム(この恐ろしい姿は見難きもの):この形は人間には通常見られない壮大な姿。
  • ドリシュトヴァー・ナ・ヴィチャーリタ(それを見ても動揺するな):圧倒されても冷静であれ。
  • プラシーダ(安心せよ):心を和らげ、安らかであれ。
  • プナス・タム・イーヴァ・ルーパム(再びかつての姿を見せよう):以前の人間的・親しみやすい姿に戻る。

■用語解説

  • 恐ろしい姿(ヴィシュヴァルーパ):創造・維持・破壊を同時に含む、クリシュナの宇宙的実相。時間そのものとも言われる。
  • 戦慄く(ヴィータマ):畏怖し、心がすくむこと。人知を超えた存在への反応。
  • 心の乱れ(ヴィチャーラ):動揺・混乱・絶望など、内面の不安定。
  • 元の姿(ナラルーパ):クリシュナがとる、人間の友としての親しみある姿。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、アルジュナに宇宙的な真の姿を見せた後、
**「恐れることはない。私はあなたを滅ぼすためにこれを見せたのではない。
安心して、再び私のもとの姿を見なさい」**と優しく語りかけます。

これは、力ある者が慈しみをもって姿を和らげ、相手の安心を気遣う象徴的な言葉です。


■解釈と現代的意義

この節は、「力」と「優しさ」が共存することの尊さを語っています。

人はしばしば、神の絶対性やリーダーの権威に恐れを抱きます。
しかし真に信頼できる存在は、相手の心が乱れたとき、それを鎮め、優しく包むものです。

この態度は、ビジネスでも教育でも、家族関係でも非常に重要です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
リーダーの慈悲大きな変化や決断を伝えた後は、部下の不安を受け止め、安心を与える言葉をかけることが信頼を築く。
強さと優しさの両立指導力(パワー)と共感(ケア)が合わさったリーダーこそが、組織を統率しながら人を育てる。
恐れを愛に変える対応相手が怯えたり萎縮しているときは、立場や知識で押すのではなく、心の安心を取り戻す声かけが重要。
見せる姿の選択状況によっては「強い姿」を見せるが、最終的には「人間的な優しさ」に戻ることで、長期的信頼が得られる。

■心得まとめ

「真の力は、恐れさせずに安心させる」
畏怖される存在であることは、真の信頼ではない。
恐れられるほどの力を持ちながらも、
それを和らげ、優しさとして示すことこそが真の強さ。

ギーターは語る:
「私は全てを支配する者だ。だが、あなたの友でありたい」


このあと第50節以降では、クリシュナが元の姿に戻り、再び穏やかな語りを通して、アルジュナを励まし導いていきます。

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