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叡智ある者は、動作すべてが沈黙の教えとなる


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■原文(日本語訳)

第2章 第54節
アルジュナは尋ねた。
「クリシュナよ、
智慧が確立し、三昧に住する人の特徴はいかなるものか。
叡知が確立した人は、どのように語り、どのように坐し、どのように歩むのか。」


■逐語訳

  • スタイタ・プラグニャシャ(叡智が確立した人):確固たる智慧を得て動じない者。
  • サマーディ・スタスヤ(深い瞑想状態にある者):三昧に留まり続ける者。
  • カー・バーシャー(彼の言葉はいかなるものか):その人はどのように語るのか。
  • キン・アーシータ(どのように坐すのか):どのような態度で存在し、行動するか。
  • ヴラジェータ・キン(どのように歩むか):世においていかに生きるか。

■用語解説

  • 智慧が確立する(スタイタ・プラグニャ):一時の悟りではなく、常に知性と魂が合一した状態。心が動揺せず、欲望や恐れに支配されない。
  • 三昧(サマーディ):完全な精神統一・瞑想状態。迷いや煩悩から離れた、純粋意識の境地。
  • 語る・坐す・歩む:単なる動作ではなく、「話し方・在り方・生き方」全体を象徴する。

■全体の現代語訳(まとめ)

アルジュナはここで、
智慧を確立した人(真に悟った人)は、日常生活でどのような態度・行動をするのか?」と問います。

単なる精神世界の理論ではなく、それが現実の行動・態度・言葉にどう表れるのかを知りたいという、実践的な問いです。


■解釈と現代的意義

この問いは、スピリチュアルな探求を机上の理論に終わらせず、「どう生きるか」にまで落とし込む」ことを求めるものです。

つまり、真の智慧とは――

  • 特別な言葉を語ることではなく、
  • どのように沈黙し、
  • どのように振る舞い、
  • 日常をどう歩むか――
    日々の態度にこそ表れるという視点です。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
リーダーのあり方言葉よりも、「姿勢」や「ふるまい」が、部下にもっとも深く影響する。
叡智ある者は、言葉に重みがある。
一貫性の重要性感情に左右されず、どの状況でも同じ態度で臨む人は、信頼され、リーダーにふさわしい。
態度がメッセージになる自分の言葉・行動・立ち居振る舞いすべてが「伝達手段」であるという認識を持つ。
沈黙と集中の力多弁ではなく、要点を的確に述べる。静けさと集中の中に、真の知恵が宿る。

■心得まとめ

「語らずとも語る人になれ」
智慧ある者は、
派手に語らずとも、
その一言・一歩・一振る舞いに、
深い静寂と真実を映し出す。

ギーターが問うのは――
「あなたの歩みそのものが、教えとなっているか」

外に答えを求めず、
自らが答えとなる生き方を、我々に求めているのです。


次の第55節から、クリシュナがこの問いに対し「叡知の確立した者(スタイタ・プラグニャ)の具体的な特徴」を一つひとつ解説していきます。

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