目次
■原文(日本語訳)
第2章 第41節
クリシュナは言った。
「この世では、決定を性とする知性は唯一である。
決定を欠いた者たちの知性は、多岐に分かれ、限りないが。」
■逐語訳
- ヴィヤヴァサーヤートミカー・ブッディ(決意ある知性):確固たる目的意識を持った知性。
- エーカ・イハ(この世において唯一である):この現世の中で、それは一貫している。
- バフー・シャーカー・ヒ・アナンタッシャ(多くの枝に分かれ、果てしない):無数の方向に分散している。
- ブッディヨー・アヴィヤヴァサーヤーナーム(決意のない者の知性):集中力のない人々の思考は散漫である。
■用語解説
- ブッディ(知性):理性的な判断力、決断力。心ではなく、「分別する力」を指す。
- ヴィヤヴァサーヤ(決意・確信):揺るぎない目的意識、精神的集中。
- エーカ(唯一):一点集中していること、一つの目標を追求している状態。
- バフーシャーカー(多枝):分散した意識、優柔不断、多忙による混乱。
- アナンタ(無限):終わりがない、果てしない、混乱と迷いの連鎖。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナはここで、集中した知性はただ一つの目標に向かうが、
決断力に欠ける者の知性は、無数の方向に分散し、収拾がつかなくなる、と語ります。
つまり、「何を為すべきか」を明確に自覚している人の思考は一貫しており、
一方で、迷い多き人の思考は細切れになって終始混乱しやすい、という教訓です。
■解釈と現代的意義
この節は、「本当の強さとは、精神の一貫性にある」ことを示しています。
現代社会では、情報や選択肢があふれ、多くの人が優柔不断や過多な思考で動けなくなっています。
ギーターはそこで警告します:
**「外ではなく、自分の中の“ブレ”こそが最大の障害」**であると。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用例 |
---|---|
意思決定 | 多くの選択肢を前に迷うのではなく、自分の価値観と使命に照らして一つに絞ることで力を集中できる。 |
リーダーシップ | ビジョンを明確に持った人は周囲に信頼されやすく、組織を率いる力となる。 |
タスク管理と集中力 | 優先順位が定まっている人は、迷いなく業務をこなし、成果を出しやすい。 |
ブレない軸の重要性 | 他人の意見や流行に振り回されず、自分の「やるべきこと」に集中する姿勢が、長期的成果につながる。 |
■心得まとめ
「一つの目的に集中した知性は、揺るがない」
道を見失う者は、枝分かれした知性に溺れ、前に進めない。
だが、使命を持つ者は、
その意志がすでに道であり、力であり、光となる。
ギーターは語る――
「決断ある知性は、人生をまっすぐに導く羅針盤である」
次の第42節からは、外面的な言葉や形式に囚われ、真の知性を見失う者たちへの警鐘が続きます。
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