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智慧を携えて、行為の束縛を超える


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第39節
クリシュナは言った。
「以上、サーンキヤ(理論)における知性が説かれた。
次に、ヨーガ(実践)における知性を聞け。
その知性をそなえれば、あなたは行為の束縛を離れるであろう。」


■逐語訳

  • イーシャー・テー・アビヒタ・サーンキェー(以上、サーンキヤにおいて説かれた):ここまでは理論的な智慧に基づく説明であった。
  • ブッディル・ヨーゲ・トゥ・イマーム・シュルヌ(次に、ヨーガにおける智慧を聞け):行為の実践(ヨーガ)における知性を聞きなさい。
  • ヤヤー・ブッディヤー・ユクトォー(その知性を備えることによって):その態度を保っているならば、
  • カルマ・バンダム・プラハースィヤシ(行為の束縛から自由になる):行為による因果の束縛から解放されるだろう。

■用語解説

  • サーンキヤ(Sāṅkhya):哲学的分析・思索・理論的な知性による真理の探究を意味する。
  • ヨーガ(Yoga):行為と実践において真理を体現するための心の態度。ここではカルマ・ヨーガを指す。
  • ブッディ(知性):分別と洞察の力。理性ある意志。
  • カルマ・バンダ(行為の束縛):行為の結果に執着することによって生まれる因果的な縛り・再生の輪廻。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナはここまで語ってきた内容――「理論としての智慧(サーンキヤ)」をまとめ、
これからは「行為の実践における智慧(ヨーガ)」を教えると前置きします。

そして、その知性をもって行動するならば、行為の結果に縛られることなく自由になれると断言します。


■解釈と現代的意義

ここでギーターは、知性ある行動者の誕生を準備します。
つまり、単に理屈を知るだけではなく、実践の中で心を整え、
執着を手放した行為を貫く知性――それがヨーガにおける「実践的智慧」です。

現代人にとってもこれは、
「考えたこと」と「実際に行ったこと」が一致する状態こそが、
精神的成長と解放をもたらすことを意味しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
知識と実践の統合理論やスキルを学ぶだけでなく、それを日々の仕事や決断に生かすことで本当の力となる。
思考から行動へ考えすぎて動けない状態を脱し、目的と方針が明確であれば実行に踏み出すべき。
行為の執着からの解放成果や失敗を恐れず、正しい行為を積み重ねることで、精神的な負担が軽減され、自由に動けるようになる。
プロ意識の深化実践に裏打ちされた知性を持つ人は、他者の信頼を得やすく、責任ある仕事に抜擢される。

■心得まとめ

「智慧は知識にあらず、行動に宿る」
考えることと、行うことが結びついたとき、
人は行為の束縛を超え、真の自由へと向かう。

ギーターは語る――
理論を学んだなら、次はそれを携えて歩み出せ。
その知性こそが、あなたを解放へ導く。


次の第40節では、このヨーガ(実践)の道は、わずかな努力でも無駄になることなく、必ず善果をもたらすと語られます。

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