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名誉を捨てれば、死より重い生が待つ


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第34節
クリシュナは言った。
「人々はあなたの不名誉を永遠に語るであろう。
そして、重んぜられた人にとって、不名誉は死よりも劣る。」


■逐語訳

  • 人々は語る(カターヤンティ):語り継ぐ、風聞として残す。
  • あなたの不名誉を(テー・アキールティム):あなたの恥・面目を失う行為を。
  • 永遠に(チャ・サスヴァターハ):ずっと、いつまでも語られる。
  • 重んぜられた人にとって(サムバーヴィタスヤ):尊敬されていた人物にとって。
  • 死よりも劣る(マラーナート・アティリチヤテ):死よりもひどい、耐えがたいものである。

■用語解説

  • アキールティ(不名誉):名声や信頼を損なう行為。信義に反した評価。
  • サムバーヴィタ(尊敬される人):地位・実績・人格により、周囲から評価されている人物。
  • サスヴァタ(永遠):時を越えて残る、風聞・評判の持続性を指す。
  • アティリチヤテ(~よりも下回る):比喩的に「死よりもつらい」とされる精神的苦痛を示す。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、義務から逃げることによって失われるのは「外面的な勝敗」ではなく、
信頼・尊敬・名誉といった人としての根本的価値であると説きます。

「人々はあなたの名を、不名誉の例として語り継ぐだろう。
それは、誇りある人物にとって、死ぬよりもつらいことなのだ」と。


■解釈と現代的意義

この節は、個人の社会的責任と信頼の重さを非常に現実的な視点で描いています。
特に尊敬されていた人が「逃げた」となれば、その落差は大きく、
周囲の失望は長く語られることになる――それは、死よりもつらい社会的死であると説いています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
信頼の重み一度築いた信頼・名誉は、義務から逃げたり責任を回避したときに、一瞬で崩れる。
リーダーとしての覚悟高く評価された立場にいる者ほど、義務から逃げた時の非難や失望は大きい。立場には覚悟が求められる。
レピュテーション・リスク小さな回避行動でも「不義理」と見なされれば、組織やチームに与える影響は深刻で長期的になる。
ブランド価値と一貫性信念を貫かない企業・人はブランドを損ない、回復が難しい。「言行一致」が名誉を守る最大の資産となる。

■心得まとめ

「信頼される者の逃避は、死よりも重い」
尊敬とは、責任を果たしてこそ得られるもの。
それを裏切ったとき、人は社会的に“死んだ”のと同じほどの打撃を受ける。

ギーターは告げます――
**「今、あなたが背を向けることは、未来永劫、汚名として語られる」**と。

それが、名誉を守ることの尊さと重みです。


次の第35節では、敵までもがその不名誉をどう語るか、さらに厳しく現実を突きつける場面へと進みます。

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