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義務の戦いは、天の門である


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第32節
クリシュナは言った。
「たまたま訪れた、開かれた天界の門である戦い。
アルジュナよ、幸福なクシャトリヤのみがそのような戦いを得る。」


■逐語訳

  • たまたま訪れた(ヤドリチャヤー):偶然、自然の流れとしてやってきた。意図せず、巡ってきたもの。
  • 開かれた天界の門(スヴァルガ・ドワーラム・アパーヴリタム):天界=善行の報いとして得られる高い境地。義務戦はその「入口」である。
  • 戦い(ヤッダム):ここでは“義務に基づいた正しい戦い”。社会正義・秩序維持のための行動。
  • 幸福なクシャトリヤ(スキナハ・クシャトリヤハ):幸運な、祝福された戦士。
  • のみが得る(ラブハンテ):このような機会は、まれにして価値ある者にのみ訪れる。

■用語解説

  • ヤドリチャヤー(たまたま):意図しないが、宿命や運命により与えられた状況を表す。
  • スヴァルガ(天界):善行を積んだ者が得る高次の幸福境地。物質的快楽ではなく、精神的報いを含意。
  • ドワーラ(門):入口、始まり。ここでは「高次の境地に至る入口」として象徴的に用いられている。
  • クシャトリヤ(戦士):社会秩序を守るために行動する使命を帯びた者。責務遂行が至上の価値。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナはこう語ります。
「アルジュナよ、この戦いは、偶然のように見えて、
あなたに与えられた大いなる天界への門なのだ。

義務に基づくこのような戦いは、幸福な戦士のみが得られる恩寵である。」

すなわち、これは“逃げたいもの”ではなく、与えられた使命であり、魂を高める機会なのだという価値転換が説かれています。


■解釈と現代的意義

この節は、困難に見える状況でも、それが「義務」としてやって来たならば、それを天の門=魂を磨く試練として受け止めよという教えです。

多くの人は、困難や衝突を避けたがりますが、ギーターは逆に、与えられた役割としての困難こそが最高の機会であると伝えます。

この視点は、仕事・人生において「なぜ自分がこれをするのか」と悩んだとき、大きな支えとなります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
チャンスの見極め一見つらく見える仕事・役割も、自己の成長と価値を高める「開かれた天界の門」である可能性がある。
困難への姿勢逃げるべきではなく、「これは自分の義務(ダルマ)か?」と問い、勇気を持って受け入れることで成長の機会となる。
使命感と意義づけ自らの仕事や役割に「天への門」としての価値を見出せれば、困難なプロジェクトも前向きに遂行できる。
リーダーとしての気づき部下やチームにとっての「大変な局面」をチャンスと捉え、励まし・導く力が求められる。

■心得まとめ

「試練の中に、天の門がある」
逃げたいと思うその戦いこそ、魂がより高く成長するために与えられた機会。
偶然のようでいて、必然のように訪れる「義務としての戦い」を、
祝福として受け入れる者こそ、真の幸運者である。


次の第33節では、もしその義務を放棄した場合に何が起こるか――不名誉や信頼喪失といった現実的な結果について語られていきます。

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