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滅ぶのは身体、滅びぬもののために行動せよ


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■原文(日本語訳)

第2章 第18節
クリシュナは言った。
「常住で滅びることなく、計り難い主体(個我)に属する身体は、有限であると言われる。それ故、戦え、アルジュナ。」


■逐語訳

  • 常住で滅びることなく(ニティヤ・アフヤヤム):永遠で、破壊されることのない存在(=アートマン、魂)。
  • 計り難い(アプリメーヤム):五感や知性では完全に理解できない、形容しがたい本質。
  • 主体に属する身体(イマーニ・シャリーラーニ):魂が宿る個別の肉体。
  • 有限である(アンティャヴァンタ):肉体は制限があり、時間とともに終わるもの。
  • それ故、戦え(タスマート・ユッシャ・バールタ):だからこそ、迷わず義務を果たせ、アルジュナよ。

■用語解説

  • アートマン(個我・主体):永遠・不滅の自己。身体に宿ってはいるが、身体とは別の存在。
  • シャリーラ(身体):物質的肉体。病み、老い、死に至る一時的な容れ物。
  • アプリメーヤ(不可測):感覚や思考では完全には捉えられない崇高な存在。
  • バールタ(バーラタ族の者):アルジュナの血統への呼びかけ。使命感を強調する表現。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは語る。「不滅であり、測り知れない魂が宿るこの身体は、たとえどれだけ大切にしてもやがて滅びる有限のものである。だからこそ、迷わずに自分の義務=戦いを果たしなさい、アルジュナ」と。


■解釈と現代的意義

この節は、「身体は滅びても魂は不滅である」という哲学に基づいて、**“正しい行動をためらうな”**という強いメッセージを送っています。
私たちは、失うこと・傷つくことを恐れて行動を躊躇しますが、クリシュナは「滅びるものを守ることに囚われるよりも、不滅の真理に立脚して行動せよ」と説いています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
長期視点の行動目先の損失(評価、ポジションの変化)を恐れず、長期的な理念や信念に従って行動する。
意思決定と本質短期的な痛みを恐れて義務を放棄するのではなく、「本質的に正しいこと」に基づいて選択する。
リスクに対する態度「身体」=目先の安定・安心、「魂」=理念・信念と捉え、後者に忠実にあることが真の成長と信頼につながる。
本質的なリーダーシップ部下や組織の一時的な不安を超えて、全体の使命に基づいた判断を下すことが、リーダーの資質である。

■心得まとめ

「滅びるものを守るより、不滅なるもののために立て」
身体や評判、地位など、目に見えるものはすべてやがて終わる。
だからこそ、魂・信念・使命といった**“滅びないもの”に立脚して生きること**こそが、真の行動であり、真の勇気である。


次節(第19節)では、殺す者・殺される者の本質について、さらに深い霊的視点が示されます。

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