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敬意と義務の狭間で、何を選ぶか


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第4節
アルジュナは言った。
「クリシュナよ、戦いにおいて、尊敬に値するビーシュマとドローナに対し、どうして矢で立ち向えよう。」


■逐語訳

  • アルジュナは言った:クリシュナの叱咤を受けたあと、アルジュナが再び苦悩を語り出す。
  • クリシュナよ:師であり神であるクリシュナに向けた呼びかけ。
  • ビーシュマとドローナに対し:祖父ビーシュマと師ドローナ、どちらもアルジュナにとって非常に敬愛すべき存在。
  • 矢で立ち向えようか(プラティヨーツィヤーミ):攻撃し対決するという考えに、道徳的・感情的な抵抗がある。

■用語解説

  • ビーシュマ:クル族の大長老。高潔で不死身の戦士。アルジュナの祖父的存在。
  • ドローナ:アルジュナに武術を教えた師匠。アルジュナにとっては恩師。
  • 尊敬に値する(プージャールハヴァ):形式的な礼よりも、心の底から敬意を抱く相手。
  • 矢で立ち向かう(アプラティヨーツィヤーミ):実戦で対決し、殺さねばならない苦悩を示す。

■全体の現代語訳(まとめ)

アルジュナは、戦場で敵方に立つ祖父ビーシュマや師ドローナに矢を向けることに強い抵抗を感じている。たとえ正義の戦いであっても、尊敬すべき人々に対して武力を向けることは、心が納得できない――それが彼の苦しみである。


■解釈と現代的意義

この節は、「倫理」と「義務」が衝突するとき、人はどれほど迷い、苦しむかを象徴しています。アルジュナは、自分の正義が誰かを傷つける可能性を前にして行動不能になっているのです。

現代でも、組織やビジネスの中で、信頼していた人・尊敬していた人に対して苦渋の決断をしなければならない場面があります。そのとき、「情」と「責務」のバランスが問われます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
リーダーとしての決断組織再編や評価制度で、信頼ある上司・先輩に対しても、全体のために冷静な判断が必要となることがある。
感情と職務の対立恩義や好意と、職責や客観性がぶつかるとき、どちらを優先すべきかを見極める胆力が求められる。
人間関係の葛藤管理チーム内の人間関係と公平性の維持に揺れるとき、個人感情ではなく原則と目的に立ち戻る必要がある。
評価とフィードバック尊敬する人でも、適切なフィードバックを与える責任がある。その誠実さが真の敬意を示す。

■心得まとめ

「敬意を持ちながらも、義務を貫くのが真の勇気」
たとえ相手が尊敬する人物であっても、正義や義務に基づいて行動しなければならないときがある。そのとき、迷いや悲しみがあっても、逃げることなく進む姿勢こそが成熟したプロフェッショナルの証である。

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