目次
■原文(日本語訳)
第2章 第3節
アルジュナよ、女々しさに陥ってはならぬ。それはあなたにふさわしくない。卑小なる心の弱さを捨てて立ち上れ。
■逐語訳
- アルジュナよ:クリシュナが直接、迷い沈むアルジュナに呼びかける。
- 女々しさに陥ってはならぬ(クレイバンマースマガマハ):臆病・優柔不断・決断できない心に流されるな。
- それはあなたにふさわしくない(ナイタットトヴァユユパパディヤテ):それはあなたの本性(クシャトリヤ/戦士)にも、人としての尊厳にも反する。
- 卑小なる心の弱さ(フリダヤダウルバリヤム):心の中の小ささ・弱さ・逃避の傾向。
- 捨てて立ち上れ(ウッティシュタ・パランタパ):「捨てよ、そして立ち上がれ」――クリシュナの強い命令。
■用語解説
- クレイバン(女々しさ):本来の役割や責任から逃げようとする臆病さ。
- ユユパパディヤテ(ふさわしくない):真に高貴な魂、自己本来の使命からはかけ離れている。
- フリダヤダウルバリヤ(心の弱さ):感情に支配されて決断力を失う内的な虚弱。
- パランタパ(敵を焼く者):アルジュナの異名。戦場で圧倒する力を持つ者。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナはアルジュナに強く促す。「今のあなたは、自らの本質を裏切っている。弱く小さな心に流されてはならぬ。その心を断ち切り、戦士として本来の立場に立ち戻りなさい」と。これはクリシュナの「愛ある叱責」であり、再起を促す言葉である。
■解釈と現代的意義
この節は、迷いや逃避に陥ったときに「本来の自己に立ち返れ」と強く背中を押す言葉です。アルジュナは戦士でありながら、人間関係と葛藤により行動不能となっています。それに対しクリシュナは、「それはお前ではない」と断言し、自己を小さくしている感情を捨て去るよう求めます。
現代人にも通じる教えです。自己不信、感情的な迷い、責任からの逃避。それらを断ち切ることで、真の行動力と尊厳を取り戻すことができるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用例 |
---|---|
リーダーシップ | 難局で弱気に流されるのではなく、立場と責任を思い出し、決断を下すことが求められる。 |
チームマネジメント | 部下が不安に陥ったときも、「立て」と鼓舞できる信念がリーダーには必要。 |
起業家精神 | 問題を前に怖気づくのではなく、「なぜ自分がこれを始めたのか」を思い出すことで勇気が戻る。 |
自己肯定感の再構築 | 弱さを責めるのではなく、「その弱さは本来の自分ではない」と見抜き、誇りをもって行動に移すこと。 |
■心得まとめ
「小さな心に縛られるな、本来の自分を思い出せ」
困難に直面したとき、人は弱さにとらわれてしまう。しかしその弱さは「本来のあなた」ではない――クリシュナはそれを断ち切り、立ち上がるよう力強く促します。現代においても、使命・責任・誇りをもって行動を選び取る姿勢が、信頼と真の強さを築いていくのです。
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