目次
■原文(日本語訳)
第2章 第2節
聖バガヴァット(クリシュナ)は告げた。
「危急に際し、この弱気はどこからあなたに近づいたのか。アルジュナよ、それは貴人の好まぬもので、天界に導かず、不名誉をもたらす。」
■逐語訳
- バガヴァーン(クリシュナ)は言った:神の智慧を象徴するクリシュナの言葉が始まる。
- 危急に際し:今まさに戦うべき重大な局面において。
- この弱気はどこから来たのか:そのような臆病や迷いは、あなたの本来の性質ではない。
- それは貴人の好まぬもの:高貴な人がとるべきではない態度であり、
- 天界に導かず:精神的進化(モークシャ、神性)へも至らず、
- 不名誉をもたらす:戦士としての名誉を失わせる行為である。
■用語解説
- バガヴァット(バガヴァーン):至高者クリシュナ。真理の導師。
- 危急(クリティ):重大な危機・決戦・選択の瞬間。
- 弱気(カシュマラム):恐れ・迷い・自信喪失・自己否定の心。
- 貴人(アーリヤ):高貴な魂・本来の自分をわきまえた人。
- 天界に導かず(スヴァルガ):高次の世界・目的地に至れない。
- 不名誉(アキールティ):恥・評判の失墜・徳の喪失。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナはアルジュナに問いかける。「今この重要な場面で、なぜあなたは弱気になっているのか? それはあなたの本質にふさわしくなく、高みへの道を閉ざし、かえって不名誉をもたらすものだ」と。ここでクリシュナは、まずアルジュナの内面にある「逃避」や「自己否定」の心を正面から指摘する。
■解釈と現代的意義
この節は、人生における「決断のとき」の在り方を鋭く突くものです。誰しも、困難な局面で臆したくなるときがあります。しかしその「弱気」が、自己の尊厳や可能性を損ねてしまう。クリシュナは、アルジュナの内なる高貴さ(アーリヤ)を思い出させ、戦士としての「自分の道」を歩む勇気を促しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用例 |
---|---|
リーダーとしての覚悟 | 経営判断や組織の岐路で、逃げ腰になることは、信頼や尊敬を損ない、組織の士気を下げる。 |
自己否定からの脱却 | 「自分には無理だ」「失敗したらどうしよう」という感情は、才能ではなく勇気の欠如から生まれる。 |
困難への挑戦姿勢 | 短期的な困難から逃げることは、長期的な成果や評価を失うことにつながる。 |
ブランディング | 弱気な対応は、ブランドの一貫性や高潔さを損なうリスクをはらむ。芯の強さが信頼をつくる。 |
■心得まとめ
「弱気に屈することは、自らの尊厳を見失うこと」
自分の本来の使命に向き合うとき、不安や恐れはつきものです。しかし、その心に従って逃げれば、得られるはずだった成長や名誉を失ってしまう。クリシュナの言葉は、私たちにも「今こそ己にふさわしい姿で立ち向かえ」と語りかけています。
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