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悲しみの淵に沈むとき、内なる導きを聞け


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第1節
サンジャヤは語った。
「このように悲哀を感じ、涙に満ちた眼を曇らせて沈みこむ彼に、クリシュナは次のように言った。」


■逐語訳

  • サンジャヤは語った:語り手サンジャヤが、王(ドリタラーシュトラ)に対して語っている。
  • このように悲哀を感じ:アルジュナは、戦うことへの苦悩や親族を殺すことへの葛藤により、深い悲しみに沈んでいる。
  • 涙に満ちた眼を曇らせて沈みこむ彼に:精神的にも肉体的にも力を失い、混乱と弱さの中にいるアルジュナ。
  • クリシュナは次のように言った:ここから神の導き(教え=ギーター)が本格的に始まる。

■用語解説

  • サンジャヤ:盲目の王ドリタラーシュトラに向け、戦場の様子を語る語り手。内観力(神通力)を得て戦場を見ている。
  • 悲哀:アルジュナの内面の動揺・混乱。家族・師・友を前にして戦えぬ苦しみ。
  • クリシュナ:アルジュナの御者であり、神(ヴィシュヌの化身)として真理を説く存在。
  • 沈みこむ:行動不能に陥る精神的な崩壊状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

語り手サンジャヤは語る。戦場に立ちながら心を揺らし、涙にくれて動けなくなっているアルジュナに、クリシュナがこれから真理を説こうとしている。その一言が、すべての教えの始まりである。


■解釈と現代的意義

この節は、『バガヴァッド・ギーター』の核心である教えの始まりを示しています。人は、人生の決断や葛藤の前に沈み込み、無力感を感じることがあります。ギーターは、そうしたときにこそ「内なる導き(ダルマ)」に耳を傾け、思考を超えた智慧の声を聞けと教えてくれます。これは、自己の再起動の瞬間であり、迷いから脱する第一歩です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
リーダーシップの迷い部下や上司との関係、成果のプレッシャーに悩み動けなくなるとき、ただ沈むのではなく、信頼できる人や内なる原則(ビジョン)に立ち返るべき。
キャリアの岐路転職や大きな決断で不安に包まれたとき、現状逃避ではなく「なぜ自分はここにいるのか」を再確認することで、方向性が見えてくる。
失敗の後の再出発大きな失敗や損失を経験したとき、感情に沈み続けるのではなく、「そこから何を学び、どう進むか」を考える瞬間が鍵となる。

■心得まとめ

「悲しみの底に沈むときこそ、真の導きが始まる」
人は決断の場面で恐れや悲しみに飲まれることがある。しかし、その沈黙の中でこそ、自らを超えた智慧の声が聞こえてくる。ビジネスでも人生でも、その“声”に耳を傾けた者だけが、次の一歩を踏み出せる。


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