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心乱るる時こそ、真の問いが始まる


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■引用原文(日本語訳)

「アルジュナはこのように告げ、戦いのさなか、戦車の座席に坐りこんだ。
弓と矢を投げ捨て、悲しみに心乱れて。」
―『バガヴァッド・ギーター』第1章 第47節


■逐語訳(一文ずつ)

  • アルジュナはこう語り終えると、
  • 戦場のど真ん中に停められた戦車の座席に力なく坐り、
  • 弓(ガーンディーヴァ)と矢を投げ捨て、
  • 悲しみに満ち、心を乱したまま沈み込んだ。

■用語解説

  • 弓と矢を投げ捨てる:戦意の喪失。武勇・責任の象徴を手放す行為。
  • 心乱れて(ヴィシャーダ):深い悲嘆・葛藤。第1章の別名「アルジュナのヴィシャーダ(悲嘆)」はここから来ている。
  • 戦車の座席に坐る:行動を止め、内省の時間へ入る姿勢。次章での「教え」への準備状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

親族を前にしたアルジュナは、戦う意味を見失い、
心の中に激しい葛藤と悲しみが渦巻いた末に、
弓矢を投げ捨て、戦車に坐りこんでしまう――
ここで彼は「戦士」ではなく、「求道者」としての第一歩を踏み出す。


■解釈と現代的意義

この節は、『バガヴァッド・ギーター』の「問題提起の終わり」であり、「教えの始まりの前触れ」です。
戦うことの是非、自分の役割、倫理的な責任、真の幸福――
こうした根本的な問いにぶつかったアルジュナは、
悲しみと混乱の中で、初めて内なる探求の扉
を開く。

現代人もまた、プレッシャー・選択・対立の中で立ち止まり、
「何のためにやるのか」「本当にこれでよいのか」と自問自答することがある。
その苦しみの中にこそ、成長の種があるのだと、ギーターは示してくれています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
精神的限界の表明無理に前に進むより、「立ち止まる」ことで真の再起が可能になる場面がある。
問い直す勇気一度手にしたポジションや仕事を見直すことも、成熟した決断である。
本質的リーダーシップの始まり心の混乱を隠さずに直視し、それを通して新たな価値観を築く姿勢が、リーダーを鍛える。
思考停止からの脱却混乱や悲嘆を「ネガティブ」と捉えるのではなく、次のステージへの導火線と見なす発想転換が必要。

■心得まとめ

「迷いは敗北ではない。それは目覚めの始まりだ」
アルジュナのように、私たちも人生や仕事の局面で「弓を置く瞬間」がある。
それは逃げではなく、深く問う勇気であり、
そこからこそ、真に意味ある行動が始まる。
混乱と悲しみの中にこそ、魂の問いと成長の光が宿る。


この節で**第1章「アルジュナの悲嘆」**は閉じられ、
次章からはクリシュナの教え――**真理への導き(第2章以降)**が展開されていきます。

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