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利を貪れば、義を失う


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■引用原文(日本語訳)

「ああ、我々は何という大罪を犯そうと決意したことか。
王権の幸せを貪り求めて、親族を殺そうと企てるとは。」
―『バガヴァッド・ギーター』第1章 第45節


■逐語訳(一文ずつ)

  • 「ああ、われわれはどれほど大きな罪を犯そうとしているのか。
  • 王位や統治による幸福を欲し、
  • それゆえに親族を滅ぼそうとまでしている。」

■用語解説

  • 大罪(マハーパーパ):ここでは特に「親族殺し」という重大な道徳違反。
  • 王権の幸せ(ラージャ・スカ):地位・権力・物質的栄華などの世俗的快楽・成功。
  • 貪り求める(ローバ):抑えがたい欲望。ギーターでは「三つの門(欲・怒・貪)」の一つとして戒められる。

■全体の現代語訳(まとめ)

アルジュナは、王国の支配や栄華という「外的な成功」を得るために、
最も大切な人々――親族や師を殺そうとする自分たちの姿勢に、
深い懺悔と嫌悪を抱いている。
「これは利益を求めて、義を捨てる愚かな道ではないか」と心から悔いている。


■解釈と現代的意義

この節は、「欲望によって正義を見失う危うさ」を語っています。
戦争の正当性を問い直し、自分たちの行動が「正義」から逸脱し、
「欲(ローバ)」によって動かされているのではないかと省みる瞬間です。

これは現代においても、個人・組織が「利」を追うあまり、
本来の「義」や「道徳」を見失ってしまう危険を指摘する、重要な警句でもあります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
成果至上主義の危険数字や成功にとらわれるあまり、手段を選ばなくなり、信頼・誠実・倫理を犠牲にすることがある。
誤った動機による意思決定利益だけを動機にしていると、大切な人間関係や信頼を壊す判断をしてしまう。
自己反省の必要性目標に向かう過程で「何を犠牲にしているか?」を常に問い直すことが、持続的成功の鍵となる。
本末転倒の回避幸せのために始めたはずの事業や仕事が、いつの間にか「犠牲を正当化する道具」になっていないか、点検が必要。

■心得まとめ

「利を貪るとき、義が泣いている」
アルジュナは、親族や恩人を殺して得る勝利に、もはや意味はないと気づく。
現代の私たちも、地位・利益・成功に心を奪われるとき、
本当に大切なものを壊してしまっていないかを、深く問う必要がある。
――義なき利に真の幸福は宿らない。


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