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■引用原文(日本語訳)
「私に意を向け、私を信愛せよ。私を供養し、私を礼拝せよ。あなたはまさに私に至るであろう。私は必ずそうなると約束する。あなたは私にとって愛しいから。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第65節)
■逐語訳
- 私に心を向け(マナ・バヴァ・マッド・バクタ)、
- 私を愛し、私を礼拝し、私に供養(ナマスカーラ)を捧げよ。
- そうすれば、あなたは必ず私に至る(マーメーヴァ・エーシャシ)。
- これは誓いである(サティヤム・テー)――私は約束する。
- なぜなら、あなたは私にとって愛しい存在(プリヨー・アシ・メー)だから。
■用語解説
- 意を向ける(マナス・バヴァ):心を集中し、内面で神を想うこと。
- 信愛(バクティ):私心なく神に向かう純粋な愛情。ギーターでは最高の霊的道とされる。
- 供養(アルチャナ):花や灯を捧げる形式的行為を超えた「心を捧げる行為」。
- 礼拝(ナマスカーラ):敬意と謙虚さをもって相手の前に身を屈する心の姿勢。
- 至る(エーシャシ):神と一体となること。輪廻を超えた悟りの境地に達すること。
- 愛しい(プリヤ):ただの敬意や忠誠ではなく、深い個人的つながりを意味する親愛。
■全体の現代語訳(まとめ)
「心を私に向け、私を愛し、供養と礼拝をもって私を敬いなさい。
そうすれば、あなたは必ず私のもとに至る。
これは私の誓いである。
なぜなら、あなたは私にとってかけがえのない存在だから。」
■解釈と現代的意義
この節は、ギーターの核心である「バクティ(信愛)の道」を最も明確に語ったものの一つです。
クリシュナは、知識や行為の結果ではなく、「心からの愛と信頼こそが解脱に導く力である」と説いています。
ここでは神が絶対者であるだけでなく、愛を持つ者に対して「誓いを立てる存在」として描かれる点が重要です。
これは「人格神」としての深い関係性の表れです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
ミッションへの没頭 | 組織の理念や顧客への価値創出に「心を向け」、信頼と愛をもって取り組む人は、結果として大きな成功とつながる。 |
人間関係 | 尊敬や信頼が心からのものになることで、上下・顧客・チームすべての関係が深くなる。 |
誠実なリーダーシップ | 部下が信頼と敬愛を持てる上司は、自らの存在でチームを牽引し、誓いと責任を果たす人間になる。 |
本質的な動機付け | 愛(信念・情熱)をもって仕事に向かう人は、表面的な報酬ではなく、根本的な満足感を得られる。 |
■心得まとめ
「愛と信頼に生きる者は、必ず本質へと導かれる」
ギーターは告げる――
「心から愛し、礼を尽くし、信じる者には、
私は必ず応える。
それは約束であり、
あなたが私にとって大切だからである。」
次の第66節では、すべての行為や義務さえも超え、「私に帰依せよ」という決定的な教えが登場します。
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