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行為の中にいながら、自由の境地に至る道


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■引用原文(日本語訳)

「私に帰依する人は、常に一切の行為をなしつつも、私の恩寵により、永遠で不変の境地に達する。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第56節)


■逐語訳

  • 私(神/クリシュナ)に完全に帰依する人は、
  • 常にあらゆる行為を実践しながらも
  • 私の**恩寵(プラサーダ)**によって、
  • 永遠で不変(アクシャヤ)な境地に達する。

■用語解説

  • 帰依(マッ・プラサーダ):神に身を委ね、信愛と信頼によって行動する姿勢。エゴや執着の放棄を含む。
  • 恩寵(プラサーダ):神の慈悲、見返りなく与えられる霊的な恵み。努力を超える次元の加護。
  • 不変の境地(アクシャヤ・パダム):生死・変化を超えた、究極的な安らぎと解放。悟り・解脱の完成。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは説く――
「日々の行為を行いながら、私(神・真理)に全てを委ねる者は、
恩寵によって、永遠に揺るがない悟りの境地に達する。」


■解釈と現代的意義

この節は、「カルマ・ヨーガ(無執着の行動)」と「バクティ・ヨーガ(信愛による帰依)」の融合点にあります。
つまり、「行為をやめる」ことではなく、行為の中で自由になることが真の悟りの道であると示しています。

重要なのは、「帰依」とは諦めではなく、信頼と集中による行動であるという点です。
自分の力を尽くしながらも、結果に執着せず、真理にすべてを任せる――
そのとき、人生の苦悩から解放され、揺るがぬ精神的安定=自由が得られるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での適用例
信頼して動く勇気結果が見えなくても、目的に従って全力で行動し、あとは信じて委ねる。これは成熟した意思決定力。
チームと上位目的への帰依自己の功績に固執せず、チームや理念・ビジョンの達成に自分を捧げる姿勢が、周囲の信頼と尊敬を生む。
成果主義の超越成果をコントロールできないときでも、やるべき行為に集中し、状況に一喜一憂しない精神力が養われる。
リーダーの在り方適切な判断と行動をしつつ、「結果は天に任せる」という器の大きな心が、真のリーダーをつくる。

■心得まとめ

「委ねることで、行為の中に自由が生まれる」

ギーターは語る――
責任を果たす者が、
すべてを信愛のうちに委ねたとき、
その人はすでに自由であり、
永遠の平安に包まれる。


この節は、「働きながら悟る」道を具体的に示す、現代にも強く響く実践哲学です。
次の第57節では、「私に心を集中させ、私を最高の目的として生きること」の重要性が説かれます。

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