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■引用原文(日本語訳)
「何ものにも執着しない知性を持ち、自己を克服し、願望を離れた人は、
放擲により、行為の超越の、最高の成就に達する。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第49節)
■逐語訳
- 何ものにも執着しない知性を備え、
- 自己(感情・衝動・自我)を制御し克服し、
- 欲望を手放した人は、
- 行為の放棄(放擲)によって、
- 行為を超越する境地(ナイシュカルミャ)、つまり最高の精神的成就に至る。
■用語解説
- 執着しない知性(アサンガ・ブッディ):事物や成果に囚われない自由な判断力。
- 自己の克服:欲望・怒り・虚栄・惰性など、自分の内側の乱れに打ち勝つこと。
- 願望を離れる(ニルアーシャ):欲望に動かされず、心が静まった状態。
- 放擲(サンニャーサ):行為の動機や成果への執着を捨てること。
- 行為の超越(ナイシュカルミャ):行為を行いながらも、その結果に縛られず、心が自由である状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
物事への執着を捨て、自己を制御し、欲望を離れた人――
そのような魂の成熟を果たした人は、行為に翻弄されることなく、
行為の背後にある真理(カルマの超越)に至り、精神的に最も高い境地に達する。
■解釈と現代的意義
この節は、「心の自由」と「内面的成熟」が真の成功であることを示しています。
現代社会では「成果」「達成」「効率」といった行為の結果が重視されがちですが、
ギーターはそれとは逆に、「執着のない心」こそが最も価値ある成就であると教えています。
つまり、行動そのものよりも、行動する心の在り方が重要だという教えです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
冷静な判断力 | 執着のない知性は、状況に左右されずに本質を見抜く力を持つ。 |
自己統御力 | 感情に流されず、自分を律して行動できる人は、組織の中で信頼を集める。 |
モチベーション管理 | 欲望や外的報酬に依存しない働き方が、燃え尽きや挫折を防ぐ。 |
精神的プロフェッショナリズム | 行動と成果にとらわれず、責任を果たしながらも心は自由であること――それが真の成熟。 |
■心得まとめ
「行為に生きながら、行為を超える。
それが成熟した知性の到達点である。」
ギーターは語る――
欲望に突き動かされるのではなく、
自分を律し、淡々と正しく行動できる人こそ、
行為の本質を超えた自由な魂である。
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