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■引用原文(日本語訳)
「寂滅、自制、苦行、清浄、忍耐、廉直、理論知と実践知、信仰。以上は本性より生ずるバラモンの行為である。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第42節)
■逐語訳
以下の徳目は、
バラモン――すなわち精神的な叡智の担い手に
**本性(スヴァバーヴァ)として備わっている資質(行為)**である:
- 寂滅(シャマ):心の静けさ、平穏。
- 自制(ダマ):感覚の統御、節制。
- 苦行(タパス):肉体と精神を鍛錬する努力。
- 清浄(シュッチ):内面と外面の清らかさ。
- 忍耐(クシャーンティ):困難や非難を耐える力。
- 廉直(アールジャヴァ):誠実さと正直さ。
- 理論知(ジュニャーナ)と実践知(ヴィジュニャーナ):知識とその体得。
- 信仰(アースティカ):真理と神聖なものへの信頼。
■用語解説
- バラモン(Brahmana):霊性・学識・真理の探求を担う存在。伝統的には僧侶・教師などだが、本来は「本性」による分類。
- 本性より生ずる(スヴァバーヴァジャム):生得的な性質、または深層に根差した適性から自然に現れるもの。
- 理論知と実践知:知識を単に蓄えるだけでなく、それを生活・行動に落とし込む智慧との統合。
■全体の現代語訳(まとめ)
バラモン的資質を持つ人とは、
知を重んじ、心と感覚を制し、誠実かつ静かな姿勢で人生を歩む人である。
彼らは知識と信仰を両立させ、行いを通して世界に調和をもたらす。
この節は、バラモン性を「知識階級」ではなく、
霊的に高貴な生き方を選ぶ者の指針として示している。
■解釈と現代的意義
ギーターはここで「バラモンであること」を、
**血統や職業によらず、“内面の成熟と徳目の体現”**で定義しています。
知識を持っているだけでは不十分。
それを行動・節度・信頼・正直・鍛錬によって表現してこそ、
真に人を導く存在となることができる――
これが「知のリーダー」のあるべき姿です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
リーダーの在り方 | 理論だけでなく、自らの行動と徳によって人を導くリーダーは、信頼を集める。 |
企業文化への応用 | 誠実さ、清廉、忍耐、自己規律といった価値観が、長期的に組織の信頼を築く。 |
人材育成 | 単なるスキルだけでなく、「姿勢・信念・内面の清らかさ」も育むことで本物のプロフェッショナルが育つ。 |
知識の使い方 | 知識は誇るためでなく、他者の役に立ち、社会に貢献するためにあるという意識。 |
■心得まとめ
「知は力ではなく、徳と共にあってこそ、道を照らす」
バラモン性とは、
心の静けさ・誠実・節度・知恵・信仰の融合である。
現代社会における真のインフルエンサーやリーダーとは、
このようなバラモン性を内に備えた人物ではないだろうか。
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