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楽を選び続けた者に、幸福は訪れない


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■引用原文(日本語訳)

「最初においても帰結においても、自己を迷わせる幸福、睡眠と怠惰と怠慢から生ずる幸福、それは暗質的な幸福と言われる。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第39節)


■逐語訳

最初から最後まで、自己を惑わせ、混乱させるような幸福――
それは、

  • 睡眠(惰眠)
  • 怠惰(やる気の欠如)
  • 怠慢(努力の放棄)
    という三つの要素から生まれたものである。
    このような幸福は、タマス(暗質)に由来する幸福とされる。

■用語解説

  • 暗質(タマス):無知・怠惰・否定性・混乱・自己欺瞞に満ちたグナ(性質)。
  • 睡眠(ニドラ):肉体的な休息を超えて、精神的回避・逃避の象徴
  • 怠惰(アーラスヤ):行動への意欲の欠如、惰性への執着。
  • 怠慢(プラマーダ):責任・義務を放棄する無関心な態度。
  • 自己を迷わせる(モーハダ):判断力を失い、真の価値から離れていく状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

一見「楽そう」「落ち着ける」と感じるが、
実際には、心を鈍らせ、判断を誤らせ、自己の堕落を促すような幸福――
このような幸福は、**魂の進化を阻む「暗質の幸福」**であり、
真の幸福とはほど遠い、見せかけの安らぎである。


■解釈と現代的意義

この節は、現代における「依存的・惰性的な心地よさ」に対する厳しい警鐘です。
動画視聴やSNS、暴飲暴食、他責思考など、一時的な安心や快楽に逃げ込む行動は、
表面的には「癒やし」「自己肯定」のように見えても、
実際には意志・活力・使命感を蝕む麻酔のようなものです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での適用例
惰性の習慣化変化を恐れて「現状維持」にしがみつく姿勢は、組織と個人を鈍化させる。
無為な安心志向「問題が起きなければOK」という思考は、創造や挑戦から遠ざかる原因になる。
自律性の喪失他人任せ・他責傾向が強まると、学びや責任感が弱まり、成果も失われる。
逃避的マネジメント面倒な対話・意思決定を避け続けるリーダーシップは、チームを曇らせる。

■心得まとめ

「静かな崩壊、それが怠惰の幸福」
努力せずとも「楽」でいられる環境は、
実は心を鈍らせ、魂の成長を止める甘い毒である。
ギーターは教える――苦しみのない道を選ぶ者は、喜びの真実を知らずに終わる。

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