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苦しみの先にある、魂の甘露


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■引用原文(日本語訳)

「最初は毒のようで結末は甘露のような幸福、自己認識の清澄さから生ずる幸福、それは純質的な幸福と言われる。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第37節)


■逐語訳

最初は毒のように苦しく感じられるが、
最後には甘露(アムリタ)のように甘くなるような幸福――
それは、
自己認識(アートマ・ブッディ)の清澄さ(すなわち、魂の本質への洞察)から生まれるものであり、
それがサットヴァ(純質)的な幸福であるとされる。


■用語解説

  • 毒のような(ヴィシャム・イヴァ):開始時に困難・不快・苦痛があることの比喩。習慣化・修行・内省など。
  • 甘露(アムリタ):神々の飲み物。永遠の命や至福の象徴。深い心の満足と喜び。
  • 自己認識の清澄さ(アートマ・ブッディ・プラサーダ):魂(真の自己)に対する明晰な理解。迷妄を晴らし、真理に至る知性の純化。
  • 純質(サットヴァ):清らかさ・光明・調和・真理・知識を表すグナ(性質)。

■全体の現代語訳(まとめ)

初めは苦しく、心も体も抵抗を感じる。
しかし、それを乗り越えた先に、
永続的で静かな満足が訪れるような幸福――
それは、魂の真理に目覚めた者が得る、最も純粋な幸福である。
一時の快楽ではなく、理解と覚醒によって得られる安らぎこそが、真の至福である。


■解釈と現代的意義

この節は、幸福の本質を「プロセスと源泉」から見直す視点を与えてくれます。
現代社会では「すぐに得られる快楽」が幸福と誤解されがちですが、
ギーターは一時の苦難を越えた先に得られる内的な成長と平安こそが、
本当の幸福であると説きます。

「学ぶこと」「鍛えること」「手放すこと」など、最初は苦くとも、
そこから得られる喜びは、どんな娯楽よりも深く、持続的な満足をもたらす。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での適用例
学習と修行新しいスキルや知識の習得は初めこそ難しく苦しいが、習得後の自信と成長は甘露のように価値がある。
厳しさの先の満足苦しい決断や責任ある行動も、その後の信頼や結果に大きく結びつく。
内省と自律自己と向き合うプロセス(反省・振り返り・改善)は辛いが、長期的な人格形成と安定に寄与する。
理念志向の経営目先の利益を超えて、理念や使命に忠実に働くことが、最終的には組織にも個人にも深い満足をもたらす。

■心得まとめ

「甘露は、毒の味の先にある」
真の幸福とは、苦しみを避けた先にあるのではなく、
苦しみの中に意味を見出し、それを越えたところに宿るもの。
ギーターは教える――魂に根ざした喜びは、最初は苦くとも、永遠に甘い。


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