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見通しなき行動は、無知の業となる


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■引用原文(日本語訳)

「帰結、損失、加害、能力を無視して、迷妄によって企てられた行為は、暗質的な行為と言われる。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第25節)


■逐語訳

行為の結果(帰結)
自他への損失や影響
他者に与える加害の可能性
そして自分自身の能力や適性――
これらを一切考慮せず、
迷妄(モーハ)=無知・混乱・思い込みによってなされた行為は、
タマス(暗質)に属する行為であるとされる。


■用語解説

  • 帰結(ニヤタム):行為の先にある結果、成果、影響の見通し。
  • 損失(ナシャ):時間・金銭・信頼などの失うリスク。
  • 加害(ヒムサー):他人を傷つける可能性のある側面。
  • 能力(シャクティ):その人に備わる適性、力量、精神的・体力的余力。
  • 迷妄(モーハ):思い込み・錯覚・判断力の欠如。
  • 暗質(タマス):怠惰・無知・混沌を象徴する性質。

■全体の現代語訳(まとめ)

もし誰かが、行動の先にある結果や影響を一切考慮せず、
他者に害を及ぼす可能性や、自分にそれを行う力があるかさえも考えず、
ただ無知や勘違いに基づいて行為に及ぶならば、
それはタマス的=暗質の行為とされる。
そのような行為は、混乱と後悔を生み、魂を曇らせる。


■解釈と現代的意義

この節は、「配慮の欠如」「見通しの欠如」「思い込みによる行動」の危険性を明確に示しています。
善意でも悪意でもなく、判断力のなさと理解不足によって行動することの方が、
現実的には大きな損害や苦悩を生み出す場合がある――という極めて現代的な洞察です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での適用例
場当たり的な意思決定十分な分析やリスク評価をせず、感情や思い付きだけで決定すると、重大な損害を招く。
無計画な施策自社の体力や市場の反応を考慮せず、新規事業や改革に突入すると、大きな失敗に陥る。
独断的な行動チームの能力や他者への影響を無視して一人で突っ走る行為は、結果的に信頼と連携を損なう。
軽視と傲慢「どうにかなるだろう」という軽視や、「自分だけは大丈夫」という慢心は、暗質的な盲動の表れ。

■心得まとめ

「行動の前に、見通しと配慮を持て」
思いつきや無知による行動は、たとえ善意でも、混乱と損失を生む。
『ギーター』は、行為に入る前に「帰結・損失・加害・能力」をよく見つめよと説く。
慎重さと認識力こそが、行動の質と魂の成長を決める。

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