目次
■原文(第11章 第28節)
河川の多くの激流が、まさに海に向って流れるように、
これら人間界の勇士たちは、燃え盛るあなたの口の中に入る。
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 多くの激しい河川が、海へと急いで流れ込むように、
(yathā nadīnām bahavombuvegāḥ samudram evābhimukhā dravanti) - 同じように、この人間界の英雄たちも、
(tathā tavāmī naralokavīrā viśanti vaktrāṇy abhivijvalanti) - 燃え上がるあなたの口に入っていく。
(tavāmī vaktrāṇi abhivijvalanti viśanti)
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
河川の激流(ambuvegāḥ) | 大自然の力の象徴。時間・因果・死・運命など、止めがたい流れの比喩。 |
海(samudra) | 全体性・究極の終着点・死・絶対者などの象徴。流れの「行き着く場所」として描かれる。 |
人間界の勇士(naraloka-vīrāḥ) | アルジュナの敵将たち。強大な戦士であっても摂理には抗えない象徴。 |
燃え盛るあなたの口 | 破壊神の相としてのクリシュナ=ヴィシュヌの姿。終末と断罪を象徴。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
ちょうど多くの河川の激流が、
まっすぐに海を目指して流れ込むように、
人間界のこれらの勇士たちは、
燃え盛るあなたの口へと入っていく。
■解釈と現代的意義
この節は、自然の摂理に逆らえない人間の宿命を、
河川と海の関係を通して象徴的に描いています。
- 激流=生命や行動の勢い
- 海=死・統合・絶対者
- 口=神の破壊的側面=無常の真理
このたとえにより、いかなる強者も「大いなる流れ」から逃れられないという深い哲理が語られています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
時代の大きな流れ | 大きな潮流(AI化、人口動態、グローバル化)に逆らえば淘汰される。 |
経営判断の限界 | 優れた人材や指導者であっても、環境変化という「大いなる流れ」には勝てないときがある。 |
戦略の見直し | 止められない流れを否定するのではなく、それに沿った形で活路を見出すべき。 |
個人の選択 | 自らの役割・限界・タイミングを知り、大局の中で行動を決定すべき。 |
■心得まとめ
「抗うな、見極めよ――時の流れを読む者が勝つ」
激しい川の流れは、
誰の願いも聞かず、海へと進む。
その勢いに呑まれる勇士たちのように、
力ある者すら、運命の前では無力だ。
されど、流れを読み、船を出せば、
その波すら味方となる。
勝者とは、抗う者ではなく、時を掴む者なり。
コメント