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■引用原文(第11章 第10節)
サンジャヤは語った。
「多くの口と眼を持ち、
多くの稀有なる外観をとり、
多くの神々しい装飾を身につけ、
多くの神の武器を振り上げた姿が現れた。」
—『バガヴァッド・ギーター』第11章 第10節
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 多くの口(ムカ)と多くの眼(ネートラ)を持ち、
- 多くの珍しい(アシュチャリヤ)姿をとり、
- 神聖な装飾(ディヴヤー・アバラナ)をまとい、
- 多くの神の武器(ディヴヤー・アユダ)を掲げていた。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
多くの口と眼 | 多様な感覚・視点・表現手段を持つことの象徴。すべてを見通し、語る能力。 |
稀有の外観(アシュチャリヤ・ルーパ) | 日常では見られない、神聖で畏敬すべき形相。常識を超えた存在の力の現れ。 |
神の装飾(ディヴヤー・アバラナ) | 神聖性を象徴する装飾。力と美の統合を意味する。 |
神の武器(ディヴヤー・アユダ) | あらゆる障害を打ち破る力、破壊と創造の象徴。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
サンジャヤは、クリシュナがアルジュナに示した神の姿が、無数の顔と眼を持ち、無数の形態を取り、神聖な装飾と武器に満ちていたと描写する。
この姿は、あらゆる存在と力の源がひとつに統合された宇宙的存在――それが神であるというヴィジョンの一端である。
■解釈と現代的意義
この節は「全体性と多様性の融合」を象徴しています。
神は単一の姿ではなく、無限の表現と能力を備え、それぞれが必要な時に働く。
それは「強さ」と「美しさ」、「破壊」と「創造」、「知」と「感情」といった、
相反する性質さえも包み込んでいる。
私たちにも、こうした多面的な力の統合が求められます。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
多機能リーダーシップ | 見る力(眼)、語る力(口)、装う力(信頼性・品格)、戦う力(決断と突破力)を併せ持つ。 |
多様性と柔軟性 | 組織や個人が、異なる役割・スタイル・価値観を使い分けることによって、高度な対応力を得る。 |
総合力の育成 | 専門性だけでなく、創造力、感性、美意識、決断力などを統合して「全体で戦える人材」を育てる。 |
ブランド戦略 | 製品・サービスの見た目(装飾)と、提供する価値(武器)が調和してこそ、強いブランドとなる。 |
■心得まとめ
「多様な力を統合せよ、それが真の強さとなる」
神の姿が多くの眼と口、装飾と武器を備えていたように、
現代に生きる私たちも「多面性の統合」を目指すべきです。
一つのスキルや視点に固執するのではなく、
見る・語る・装う・決断する――あらゆる力を場面に応じて使い分けること。
それが、人を動かし、組織を導き、世界を変える真の力となるのです。
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