目次
■引用原文(第11章 第7節)
聖バガヴァット(クリシュナ)は告げた。
「見よ、今日ここに、私の身体の中に一堂に会している、
動くもの・動かぬものに満ちた全世界を。
そしてあなたが見たいと望んでいる他のすべてのものも。」
—『バガヴァッド・ギーター』第11章 第7節
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 今日ここで、あなたは見るであろう、
- 私の身体の中に一堂に集まった、
- 動くもの(チャラ)も、動かぬもの(アチャラ)も含めた全世界を。
- そして、あなたが見たいと願ったその他すべてのものも。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
動(チャラ) | 命あるもの、変化・移動する存在(動物、人間など)。 |
不動(アチャラ) | 変化しない存在、固定されたもの(山、大地、法、原理など)。 |
身体の中に(マイィ・デーハ) | 神(クリシュナ)の宇宙的身体。宇宙の全体が神の身体の中に内包されているというヴィジョン。 |
一堂に会する | 多様な存在が、神の本体の中に統一されて存在している状態。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナはアルジュナに、「あなたが求めていた全ては、今、私の身体の中にすでに集まっている」と告げる。
世界のすべて――動くもの、動かぬもの、過去・現在・未来、全存在――は、神の本体の中に統一されて存在している。
これは、部分ではなく全体を見る啓示であり、すべてが「今・ここ」にあるという真理の宣言でもある。
■解釈と現代的意義
この節は、「探していたものはすでに、目の前にある」という気づきを与えます。
私たちは未来や他所に理想や答えを求めがちですが、
実は、真理も世界も、そしてすべての要素は、いま目の前の現実の中にすでに揃っているのです。
それに気づく視点・覚醒こそが、求めていた「見る力」であり、悟りへの入り口です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
ビジョンと現実 | 理想や計画を遠い未来に追い求めるのではなく、「今ここ」のチーム・資源・機会を最大限に活かす視点。 |
経営判断 | 複数の事業要素(市場、顧客、商品、人材)をバラバラに見るのではなく、統一された全体像として把握する。 |
マインドフルネス | 今この瞬間の出来事の中に、すべての気づきと成長があるという自覚を持つこと。 |
組織の統合力 | 異なる部署・価値観・目的も、組織全体の「一つの意志」の中で調和して存在していると見ること。 |
■心得まとめ
「すべては、すでにここにある」
私たちはしばしば「もっと何かが必要だ」と考えます。
けれど本当は、動くものも、動かぬものも、過去も未来も、可能性も真理も、
すでに「今・ここ」に存在しています。
問題は「あるかどうか」ではなく、「見えているかどうか」。
目の前の全体に気づくその瞬間に、人は変わり、組織は変わり、世界が変わるのです。
コメント