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■原文(日本語訳)
「また、万物の種子、それは私である。アルジュナよ。動くものも動かぬものも、私なしに存在するものはない。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第39節)
■逐語訳(一文ずつ)
- yacca api sarva-bhūtānāṁ bījaṁ tad aham arjuna
→ そして、すべての存在(生きとし生けるもの)の種子(起源)も、アルジュナよ、それはまさに私である。 - na tad asti vinā yat syān mayā bhūtaṁ carācaram
→ 動くものも動かぬものも、私なしに存在しうるものは、まったく存在しない。
■用語解説
- sarva-bhūtānām(万物):すべての存在、生きとし生けるもの。
- bīja(ビージャ):種、起源、本源、可能性の源。
- carācaram(チャラーチャラム):動くもの(動物・人間など)と、動かぬもの(山・石・植物など)すべて。
- vinā mayā(私なしに):神(クリシュナ)なしに、という意味であり、宇宙の存在根拠が神にあることを示す。
■全体の現代語訳(まとめ)
「万物の根源、すべての命の種子は、まさに私である。動くものも静止するものも、私の存在なしにあるものは何ひとつない。」
■解釈と現代的意義
この節は、**創造の原理としての神性(クリシュナ=宇宙意識)**を語っています。
動的なもの(人間や動物)も、静的なもの(山や川、地球)も含めて、「存在する」とは、「神の存在を分かち持っている」こと。
つまり、すべてのものが同じ本源から来ているという統一的な世界観(全体性・一元論)を提示しています。
これは現代的には、
- 万物に共通の尊厳がある
- 多様性は本源においては一つ
という 包括的な思想(ホリスティックな視点) として受け取ることができます。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネスへの応用 |
---|---|
種子=源泉である神 | あらゆる製品・サービス・組織・チームの起点(ビジョン・価値観)に原点(種)があることを意識する。 |
動的/静的の包括性 | 業務プロセス(動)と経営理念・仕組み(静)の両方を尊重し統合的に捉える。 |
「私なしに存在しない」 | すべての成果や現象は“無から生じない”という気づき。背後にある理念・創造的意志の重要性を認識する。 |
■心得まとめ
「すべての行動も静寂も、その根に創造の意志あり」
目に見える成果も、
静かに育まれる仕組みも、
すべては一つの種から発している。
何かを成すとき、
その**原点(ビージャ)**を忘れぬこと。
それが持続可能な創造の鍵である。
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