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■引用原文(日本語訳)
「私はぺてん師たちの博である。威光ある者たちの威光である。私は勝利である。決意である。勇気ある者の勇気である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第36節)
■逐語訳(一文ずつ)
- dyūtaṁ chalayatām asmi
→ 私はぺてん師(策略家)たちの策略(博打)の中に存在する。 - tejas tejasvinām aham
→ 威光ある者たちの威光こそ、私である。 - jayo ’smi
→ 私は勝利である。 - vyavasāyo ’smi
→ 私は決意である。 - sattvaṁ sattvavatām aham
→ 勇気ある者たちの勇気(精神力)は私である。
■用語解説
- dyūtaṁ(博・賭博):ここでは「策略」や「計略」、または「ぺてん・駆け引き」を含意する。
- chalayatām(ぺてん師たち):誤魔化す者、欺く者、策略を用いる者。
- tejas(威光):光輝・エネルギー・魅力。
- jaya(勝利):勝つこと。成功。
- vyavasāya(決意):断固とした意思、判断力、行動への強い意志。
- sattva(勇気・精神力):真理や純粋さを意味する語だが、ここでは「勇気・芯の強さ」として解釈される。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は策略を用いる者たちの策略そのものであり、威光ある者たちの威光である。私は勝利であり、決意であり、勇敢な者たちの精神力である。」
■解釈と現代的意義
この節では、神が力の作用そのものとして存在していることを示しています。
- 策略や駆け引き(たとえ欺瞞を含んでいても)の中にさえ神的側面は潜んでいる。
- 威光、勝利、決意、勇気といった人生を切り拓く力の源として、神は現れる。
- つまり、「行動する力」「導く力」「勝ち取る力」自体が、神の顕現である。
■ビジネスにおける解釈と適用
項目 | 現代的応用 |
---|---|
策略(ぺてん・駆け引き) | ビジネス交渉・マーケティング戦略・商談術もまた、使い方次第で神的力たり得る。倫理と目的が正しければ。 |
威光 | リーダーとしての「影響力」「カリスマ性」。「発する力」の磨きが信頼を築く。 |
勝利・決意 | 組織の目標達成・困難の突破には「断固たる意志」が必要。神は決断と成果の中に顕れる。 |
勇気 | 変革・挑戦に必要な精神力。恐れず行動する力は、神の一面である。 |
■心得まとめ
「策略もまた、正しく用いれば神性である」
知略も交渉も、
意志も決断も、
輝く人格も、
すべて神の現れである。
力を恐れず、
知を恥じず、
真に勝つ者たらんとせよ。
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