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死を超えて、智慧と徳を育め


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■引用原文(日本語訳)

「私は一切を奪い去る死である。生まれるべきものの源泉である。女性のうちでは、名声、吉祥、言語、記憶、叡知、堅固(充足)、忍耐である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第34節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • mṛtyuḥ sarva-haraś cāham
     → 私はすべてを奪う死である。
  • udbhavaś ca bhaviṣyatām
     → また、生まれるべき者たちの源泉(起点)である。
  • kīrtiḥ śrīr vāk ca nārīṇāṁ
     → 女性たちの中では、私は名声・吉祥・言葉である。
  • smṛtir medhā dhṛtiḥ kṣamā
     → 記憶・智慧・堅固(意志)・忍耐である。

■用語解説

  • mṛtyu(死):時間の終わり、存在の停止。変化の究極形。
  • sarva-hara(すべてを奪う):無差別にあらゆるものを終わらせる力。
  • udbhava(発生):存在の起点。誕生、生成の源。
  • bhaviṣyatām(生まれるべきもの):未来の存在者たち。
  • kīrti(名声):善行や力により人々に知られること。
  • śrī(吉祥):繁栄、美、幸運、富。女神ラクシュミの象徴。
  • vāk(言語):言葉、発言力、表現の力。
  • smṛti(記憶):記憶力。過去の経験を保持する能力。
  • medhā(叡知):理解力、知恵、判断力。
  • dhṛti(堅固):意志の強さ、揺るがぬ精神。
  • kṣamā(忍耐):寛容さと耐え忍ぶ力。

■全体の現代語訳(まとめ)

「私はあらゆるものを終わらせる『死』であり、すべての誕生の起点でもある。女性的な属性の中では、私は名声、吉祥、言語、記憶、知恵、堅固、そして忍耐である。」


■解釈と現代的意義

この節は、「終わり」と「始まり」の両面を司る存在としての神性と、精神的な徳性(特に女性的な属性として象徴される)を描いています。

  • 死は破壊ではなく、再生の起点でもある。有限性を知ることが、創造の意味を与える。
  • 名声や記憶は「人の生」を超えて続く「遺産」としての価値を示唆する。
  • **女性性の中の7つの徳(名声・吉祥・言葉・記憶・知恵・堅固・忍耐)**は、現代においてもビジネスや社会におけるソフトパワーの源泉。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
終わりの力(死)不要な事業・思考・慣習を「終わらせる」勇気と戦略。
始まりの力新たな挑戦や企画は、終了の意志の上に成り立つ。
名声と吉祥ブランド価値・社会的信用・運のような無形資産の管理。
言語・記憶コミュニケーション力とナレッジマネジメントの重視。
知恵と堅固知識の活用と、ブレない意志。リーダーシップの本質。
忍耐持続的挑戦、困難の受容。精神的持久力の育成。

■心得まとめ

「終わりを受け入れ、始まりを創り、七つの徳で力を得よ」

終わりは恐れるものではなく、
始まりのために用いるべきもの。
記憶し、語り、耐え、智慧をもって、
人と組織に徳を育てよ。

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