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■引用原文(日本語訳)
「私は大仙のうちのブリグ仙である。音声のうちの一音(聖音オーム)である。私は祭祀における念誦の祭祀である。不動のもの(山)のうちのヒマーラヤ山である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第25節)
■逐語訳(一文ずつ)
- maharṣīṇāṁ bhṛgur ahaṁ
→ 私は大仙たちのうちのブリグ仙である。 - girām asmy ekam akṣaram
→ 音声(言葉)のうちの一音、オームである。 - yajñānāṁ japa-yajño ’smi
→ 祭祀のうちの、私は念誦(ジャパ)の祭祀である。 - sthāvarāṇāṁ himālayaḥ
→ 不動のもの(動かぬもの)の中では、私はヒマラヤ山である。
■用語解説
- ブリグ仙(Bhṛgu):古代ヴェーダの聖仙の一人。祭祀や宇宙原理に通じた高徳な存在。
- オーム(Om):万物を貫く根本音。宇宙の根源を象徴する聖音。すべてのマントラに先立つ一音。
- 念誦の祭祀(Japa-Yajña):声を出してまたは心の中で神聖な名を繰り返す精神的な祭祀。外面的な供犠よりも内面的な修行を重視。
- ヒマラヤ山(Himālayaḥ):インドとチベットにまたがる大山脈。精神性・永遠性・荘厳さの象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
「偉大な聖仙の中ではブリグ仙こそが私であり、言葉の中では唯一音“オーム”が私の象徴である。
供犠(祭祀)の中では、静かに唱える念誦の祭祀こそが私であり、不動の存在の中では荘厳なヒマラヤが私である。」
神の本質は、最も根源的・内的・崇高なものに現れるという教えである。
■解釈と現代的意義
この節は、「見えない力こそが、真に偉大である」というメッセージを伝えています。
祭祀の中でも、派手な供犠ではなく心からの静かな祈り(ジャパ)が最上とされるのは、内面の純粋さと集中が何より尊ばれるからです。
また、すべての音の根源である「オーム」や、動かぬヒマラヤ山のように、根源性と安定性こそが真の力であると説いています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーシップ | 表面的なパフォーマンスではなく、根本理念や信念(=オーム)に立脚したブレない方針が信頼を生む。 |
経営の姿勢 | 派手な成果よりも、地道で継続的な念誦のような努力(ジャパ)こそが長期的成功を築く。 |
商品開発 | 見た目の派手さよりも、使い続けたときの「本質的価値」が問われる。 |
自己成長 | ヒマラヤのように動じない精神性、オームのように一貫した思考が人格と信頼の基盤を形成する。 |
■心得まとめ
「派手な行為よりも、静かな継続にこそ、真の力は宿る」
見えない祈りは魂を磨き、
一音の真理は混沌に秩序を与え、
動かぬ山は信頼の基盤となる。
ビジネスにおいても、本質・根源・継続を重んじることで真のリーダーシップが確立されます。
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