目次
■引用原文(日本語訳)
「私はルドラ神群におけるシャンカラ(シヴァ)である。夜叉と羅刹における財宝の主(クベーラ)である。私はヴァス神群における火神である。山々におけるメール山である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第23節)
■逐語訳(一文ずつ)
- rudrāṇāṁ śaṅkaraś cāsmi
→ ルドラ神群の中では、私はシャンカラ(=シヴァ)である。 - vitteśo yakṣa-rakṣasām
→ 夜叉と羅刹たちの中では、私は財宝の主(クベーラ)である。 - vasūnāṁ pāvakaś cāsmi
→ ヴァス神群の中では、私は火神(アグニ)である。 - meruḥ śikhariṇām aham
→ 山々の中では、私はメール山である。
■用語解説
- シャンカラ(Śaṅkara)/シヴァ:破壊と再生の神。ルドラ神群の中でも最高位。
- クベーラ(Vitteśa):財宝の守護神。夜叉・羅刹などの異形の神霊を統べる存在。
- パーヴァカ(Pāvaka)/アグニ:ヴァス神群における火神。清めと変容を象徴する。
- メール山(Meru):神話上の聖なる山で、宇宙の中心軸とされる霊的象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは語る。「ルドラ神群では私はシヴァであり、夜叉たちでは財宝の主クベーラであり、ヴァス神群では火神アグニであり、山の中では宇宙の中心メール山である」と。
これは、力・富・浄化・安定という四つの異なる価値の中において、最も際立つ象徴に自らを重ねる宣言である。
■解釈と現代的意義
この節は、「神は力や栄光の極致に現れる」ということを、自然と神々の象徴を用いて示しています。
破壊と再生の力(シヴァ)、豊かさと支配の力(クベーラ)、燃える浄化力(アグニ)、不動の霊的中心(メール山)――それらすべてに神性が宿っていると説いているのです。
つまり、世界の中で“最も純粋で強い働き”こそが、神の顕れなのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
指導者像 | 圧倒的な実行力(シヴァ)、資源管理の知恵(クベーラ)、変化に対応する力(アグニ)、不動の信念(メール山)が備わるリーダーが信頼を集める。 |
企業戦略 | 強みを尖らせ、象徴的な価値(No.1商品・ブランド)を築くことが、神性を感じさせるリーダーシップになる。 |
チーム作り | 多様な力(破壊・富・熱・安定)を持つメンバーを統合することで、組織に「神の現れ」と言えるような全体力が生まれる。 |
成長の方向性 | 自己の中にある最強・最高の側面を見つけて育てていくことが、真の役割と道に繋がる。 |
■心得まとめ
「最も強いものに、最も清らかな神を見る」
破壊の中にも再生の神が宿り、
富の中にも霊性が潜む。
真に力を持つものは、その本質において神と繋がっている――
ビジネスにおいても、単なる成果を超えた“象徴的な存在”となることが、人と社会に影響を与える道なのです。
コメント