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■引用原文(日本語訳)
「アルジュナよ、私は万物の心中に宿る自己である。私は万物の本初であり、中間であり、終末である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第20節)
■逐語訳(一文ずつ)
- aham ātmā guḍākeśa sarva-bhūtāśaya-sthitaḥ
→ 私はアートマン(自己)である、眠りに打ち勝った者(アルジュナ)よ。すべての生き物の心の奥に存在している。 - aham ādiś ca madhyaṁ ca bhūtānām anta eva ca
→ 私は万物(生きとし生けるもの)のはじまりであり、中間であり、終末でもある。
■用語解説
- ātmā(アートマン):真の自己。すべての存在に内在する永遠の本質。神の顕現でもある。
- guḍākeśa(グダーケーシャ):眠りに打ち勝った者。アルジュナの別名。集中力と自己制御を象徴。
- sarva-bhūtāśaya(サルヴァ・ブータ・アーシャヤ):すべての存在の心の奥、内なる場。
- ādi, madhya, anta(本初・中間・終末):時間・存在の三位一体。創造・維持・消滅の原理。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは「私はすべての存在の心の奥にある内なる自己(アートマン)であり、存在の始まり・中間・終わりそのものである」と宣言する。
つまり、神(バガヴァン)は単に外部にある超越者ではなく、私たち一人ひとりの内部に宿っており、存在の全体構造に遍在しているという教えである。
■解釈と現代的意義
この節は、神は外にある偶像でも遠くの神秘でもなく、「自分自身の内なる中心」に存在しているという自己認識を促すものです。
また、あらゆるものの始まり・過程・終わりに神性が宿るという一貫した価値観を提示しており、人生のどの段階にも尊厳と意味があることを示しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
自己認識と内省 | リーダーシップや決断力は「内なる自己」に根ざす。外部の評価に振り回されず、内面から方向を見いだす姿勢が重要。 |
起業・事業開発 | ビジネスの「創業(はじまり)」「運営(中間)」「終結(終わり)」のすべてに一貫して価値を見出すことで、持続可能で真摯な運営が可能に。 |
マインドセット | 困難な状況においても、「この出来事にも意味がある」と見る力が、長期的な信頼や創造性につながる。 |
人材育成 | 部下や同僚にも“神性”が宿るとする見方は、尊重と共感のマネジメントに繋がる。 |
■心得まとめ
「本質は外にはない。己の内に神は宿り、始まりも終わりも意味を持つ」
真理は遠いところにあるのではなく、自らの心の奥底に存在する。
自分自身と向き合い、どんな始まりも、どんな終わりも、それが神の顕現であると認められる時、
人はぶれない力と、深い落ち着きを得ることができる。
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