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■引用原文(日本語訳)
「常に〔私に〕専心し、喜びをもって私を信愛する彼らに、私はかの知性のヨーガを授ける。それにより彼らが私に至るところの。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第10節)
■逐語訳(一文ずつ)
- teṣāṃ satata-yuktānāṃ
→ 常に私と結ばれている者たちに(=常に専心している人々に) - bhajatāṃ prīti-pūrvakam
→ 愛と喜びをもって私を信愛する者たちに - dadāmi buddhi-yogaṃ tam
→ 私は彼らに「知性のヨーガ(悟りに至る知の方法)」を授ける - yena mām upayānti te
→ それによって、彼らは私に至るのだ
■用語解説
- 専心する(satata-yukta):一貫して神(真理)と心を結びつけている状態。揺らがぬ集中と献身。
- 信愛する(bhajataḥ):愛を込めて神に仕える、礼拝する。
- 喜びをもって(prīti-pūrvakam):心からの好意と幸福感をもって行うこと。
- 知性のヨーガ(buddhi-yoga):理性・知性を用いて神(真理)に至るための道。行為と智慧の統合。
- 至る(upayānti):到達する、つながる。ここでは「神に至る」=解脱・合一。
■全体の現代語訳(まとめ)
「いつも私に心を向け、喜びと愛情をもって私を信じ仕える者たちに、私は彼らが私に到達するための“知性のヨーガ”を授ける。彼らはその道を通して私と一体となるのである。」
■解釈と現代的意義
この節は、「誠実な愛と集中」を持つ者には、外から教えられなくても、神(または真理)そのものが“智慧の道”を授けてくれる――という驚くべき原理を説いています。
つまり、努力する者に知識が与えられるのではなく、愛を持って心を向ける者に、知識そのものが与えられるのです。
知性とは単なる論理や情報ではなく、「正しい方向へと導かれる霊的な直観力」でもあるということがわかります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
意義への専心 | 意味ある目標に愛をもって専心する人には、「どうすればいいか」が自然と見えてくる。 |
内発的な学びの力 | 本当に好きなこと・信じることに取り組む人は、教えられなくても「学び続ける力」が湧き出る。 |
リーダーシップ | 部下に対して、「やり方」よりも「想い」を育てることで、自ら考える力が開花する。 |
ビジョンの共有 | 心から理念に共感したチームは、自律的に行動し、創造的な解決を自ら導き出すようになる。 |
■心得まとめ
「心を尽くす者に、道は開かれる」
真の知性とは、単なる頭の良さではない。
何かを心から信じ、愛をもって専心する者には、神(真理)そのものが“どう進めばよいか”という智慧を授けてくれる。
だからこそ、大切なのは「集中力」よりも「信愛の深さ」――その心の質が、未来を照らす力となる。
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