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動かしながら動じない――真の中立と自由の境地


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■引用原文(日本語訳)

しかもそれらの行為は私を束縛しない。
私は中立者のように静止し、
それらの行為に執着しないから。
(『バガヴァッド・ギーター』第9章 第9節)


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • しかしながら、
  • それらすべての創造と働き(宇宙的行為)は、
  • 私(バガヴァーン)を束縛しない。
  • なぜなら、私は中立者のように、
  • 行為に執着せず、静かに存在しているからである。

■用語解説

  • 束縛しない(ナ・バッダンティ):行為の結果に縛られず、影響を受けない。自由な存在であること。
  • 中立者(ウダーシーナ・ヴァット):無関係な観察者のように、巻き込まれず、偏らない立場をとる者。
  • 執着しない(アスャクタ):行為そのものにも、成果にもとらわれない態度。純粋な実行者であること。
  • 静止する(ティシュタミ):内面的に動揺せず、不動の状態にあること。

■全体の現代語訳(まとめ)

私は、宇宙のすべての創造や活動を引き起こしているが、
それらの行為によって影響を受けたり、縛られたりすることはない。
なぜなら私は、あらゆる行為に執着せず、中立の立場で、静かに存在しているからである。


■解釈と現代的意義

この節は、「行為するが、執着しない」「影響を与えるが、影響されない」という、理想的な在り方を示しています。
それは「無責任」ではなく、「高次の責任感」であり、自らの役割を果たしつつも、結果に囚われない自由な姿勢です。
現代においては、冷静かつ客観的な立場を保つリーダーシップ、またはプレッシャーに巻き込まれずに働く力として学ぶべき態度です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
リーダーの心構え困難な判断や状況の中でも、感情に巻き込まれず中立を保つことで、冷静で公正な意思決定ができる。
結果への執着を捨てる成果に過度にとらわれず、淡々とやるべきことを実行する姿勢が、ストレスを減らし、長期的に高パフォーマンスをもたらす。
客観的視点部下や組織の動きに対して一歩引いて観察することが、全体最適をもたらす判断を可能にする。

■心得まとめ

「動じずに関わり、執着せずに果たす」

神は、万物を動かしていながら、それに縛られない。
これは、真の自由とは「何もしないこと」ではなく、「とらわれずにやり遂げること」であるという教え。
ビジネスにおいても、責任を果たしつつ、結果や評価にとらわれない態度が、真に成熟した働き方を生み出す。

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