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万物に宿るが、何にも囚われない――真なる力の在り方


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■引用原文(日本語訳)

この全世界は、非顕現な形の私によって遍く満たされている。
万物は私のうちにあるが、私はそれらのうちには存立しない。
(『バガヴァッド・ギーター』第9章 第4節)


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • この全宇宙は、
  • 非顕現(アヴィヤクタ)という形の私によって、あまねく満たされている。
  • あらゆる存在(万物)は、私の中にある。
  • しかし、私はそれら(万物)の中には存立しない(縛られず、依存していない)。

■用語解説

  • 非顕現(アヴィヤクタ):目に見えない、姿を取らない状態。根源的存在としての神(ブラフマン)の在り方。
  • 遍く満たされている:至高の存在(バガヴァーン)は、全宇宙にあまねく存在し、すべてを包み込んでいる。
  • 万物は私のうちにある:神は全てのものの本質であり、あらゆる存在は神のうちに位置づけられる。
  • 私はそれらのうちには存立しない:神は物質的存在に依存せず、それに囚われず、超越した次元に在る。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは語る――この世界のあらゆる存在は、目には見えない私の本質によって支えられている。すべてのものは私のうちにあるが、私はそれらに依存することなく、超越した存在である。
つまり、神はすべてのものの根底にあるが、個々の存在の制限には縛られない。


■解釈と現代的意義

この節は、「内在」と「超越」という矛盾するように見える二つの側面を、神の本質として統合しています。
神は私たちの中にあるが、私たちに囚われない。これは、「力を持つ者は、力に固執しない」という真理でもあります。現代人にとっても、「関わっているが、執着しない」という在り方は、自由で強い生き方を示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
経営者の在り方全体に目を配りながらも、現場の細部に執着しすぎない。指揮はとるが、細事に囚われない。
自己コントロール自分の役割を果たしつつも、「結果」や「評判」に依存しすぎない心の自由を保つ。
影響力と距離感組織やプロジェクトに深く関わっていながら、同時に冷静さを保ち、客観性を失わない。

■心得まとめ

「すべてに在りながら、なにものにも縛られぬ」

真に強いリーダーは、全体に目を配り関わるが、個別の利害や感情に囚われない。
それは、バガヴァーンの在り方に学ぶ、現代に通じるリーダーシップである。
心を広く保ちつつ、執着せず、超然と行動する――これが自由で成熟した生き方の鍵である。

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