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心は難しき敵、されど訓練と離欲により手懐けられる


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■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
勇士よ、確かに意は動揺し、抑制され難い。
しかし、それは常修と離欲とによって把促される。
―『バガヴァッド・ギーター』第6章 第35節


■逐語訳(一文ずつ)

  • 聖なる主(バガヴァーン)は言った。
  • 「勇者(アルジュナ)よ、
  • 心(意)は確かに動揺しやすく、抑えがたく、
  • しかし、それは**繰り返しの修行(常修)**と
  • **欲望を離れること(離欲)**によって、
  • 把握し、制御することができるのだ。」

■用語解説

  • 意(マナス):思考や感情、欲望などを生む内的器官。
  • 動揺し/抑制され難い(チャンチャラ/ドゥルニグラハ):心が常に揺れ、静まらない性質を強調。
  • 常修(アビヤーサ):習慣的な努力・継続的な修行。日々積み重ねる実践。
  • 離欲(ヴァイラーギャ):対象への執着や欲望からの自由。超然とした態度。

■全体の現代語訳(まとめ)

神(クリシュナ)は言った:
「アルジュナよ、心は確かに動揺しやすく、制御するのは難しい。
だが、それはたゆまぬ修行と欲望からの離脱によって制御可能なのだ。」


■解釈と現代的意義

この節では、前節(三四)におけるアルジュナの率直な「心は風のように制御し難い」という苦悩に対して、クリシュナが真正面から答えています。

重要なのは「制御は不可能ではない」という点です。
心の動揺に悩むのは自然なことだが、それに対して打つべき手はある、というのがこの節のメッセージです。

特に強調されているのが2つの手段:

  1. 常修(アビヤーサ):何度でも、日々、正しく繰り返す実践
  2. 離欲(ヴァイラーギャ):一時の快楽や執着を手放し、平常心を保つ態度

■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
継続の力感情の波や不安は、継続的な習慣(瞑想・日記・PDCAなど)によって安定化できる。
離欲=執着の手放し売上・評価・ポジションなどへの執着を手放すことで、冷静な判断が可能になる。
マネジメント部下の感情の波や浮き沈みに対して、長期的視点でのサポートと信頼が重要。
自己鍛錬感情のブレは誰にでもある。その「前提に立った上で」訓練によって整える姿勢が大切。

■心得まとめ

「心を責めず、心を育てよ」

揺れる心を「悪」として責めてはならない。
風は風として受け止め、
何度でも帆を張り直し、舵を調整することがヨーガの道である。

繰り返すことで心は育ち、
欲を手放すことで心は澄む。

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