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■引用原文(日本語訳)
アルジュナは言った。
「あなたはヨーガが平等の境地*であると説いたが、
クリシュナよ、私はその不動の境地を見出せない。〔意が〕動揺するから。」
―『バガヴァッド・ギーター』第6章 第33節
■逐語訳(一文ずつ)
- アルジュナは言った:
- 「あなたは、ヨーガとは平等の境地(サマッティ)であると説いた。
- しかし、クリシュナよ、私はその境地が見出せない。
- 私の意(心)が動揺するからである。」
■用語解説
- サマッティ(平等の境地):対象への好悪を離れ、喜怒哀楽に動じず、心が一つに統一された状態。
- 意(マナス):思考や感情の源であり、動揺しやすく、集中しにくいものとされる。
- 不動の境地(アチャンチャラ):揺らぎない精神の安定。修行によって到達すべき目標。
■全体の現代語訳(まとめ)
アルジュナはこう問う。
「クリシュナよ、あなたはヨーガが平等で揺らがぬ境地であると言ったが、
私の心は落ち着かず、その境地に至ることができない。」
■解釈と現代的意義
この節は、理想と現実のギャップに直面した人間の率直な悩みを表しています。
アルジュナは、クリシュナの説く崇高なヨーガの理想に共鳴しながらも、
自らの心の動揺・集中力の欠如・不安定さを克服できずに戸惑っています。
このような心の揺れは、現代人にも通じる普遍的な悩みです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用例 |
---|---|
リーダーの誠実さ | 理想を掲げるだけでなく、「自分も揺れる」と認めることは、部下の信頼を得る。 |
変革の過程 | 高い目標設定に対し、現場の混乱や迷いを無視せず、丁寧なフォローが必要。 |
個人の成長 | 意志が揺らぐ自分を責めすぎず、徐々に「不動の境地」を目指していくことが大切。 |
メンタルマネジメント | 心が乱れることを前提とした計画(ルーティン・支援環境)が必要。 |
■心得まとめ
「揺れる心が、理想を照らす」
高い理想は、美しい。
だが、心が揺れ、動揺するのが人間だ。動揺する自分を責めず、
それでも、理想に向かって進み続ける。ヨーガは、不動である前に、
揺れを知る勇気から始まる。
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