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すべての人に、偏りなきまなざしを


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■引用原文(日本語訳)

「親しい者、盟友、敵、中立者、中間者、憎むべき者、縁者に対し、また善人と悪人に対し、平等に考える人は優れている。」
(『バガヴァッド・ギーター』第6章 第9節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • 親しい者や味方、敵や中立の人、
  • 関係があいまいな者や憎むべき者、身内に対しても、
  • また善人にも悪人にも、
  • 平等の心で接する者は、優れた(最高の)人であるとされる。

■用語解説

  • 親しい者(スフリット):友人や身内、感情的に近しい存在。
  • 盟友(ミトラ):協力関係にある同士、ビジネスパートナーなど。
  • 敵(アリ):対立する者。実害を与えたり争いを引き起こす存在。
  • 中立者・中間者(ウダーシーナ/マディヤスタ):特定の立場を取らない者/どちらにも与しない仲裁的存在。
  • 憎むべき者(ドヴェーシャ):嫌悪感を抱かせるような人物、あるいは害意のある存在。
  • 縁者(バンドゥ):親類・親族など血縁関係にある人。
  • 善人と悪人(サードゥとパーパカ):道徳的によい行いをする者、悪行をする者。
  • 平等に考える(サマブッディ):すべてを等しく見つめる智慧のまなざし。偏見なく物事を見抜く心のあり方。

■全体の現代語訳(まとめ)

人との関係性や感情の好き嫌い、善悪の評価にとらわれることなく、すべての人に対して同じ心で接する者こそが、真に優れた人物である。
それは無感情ではなく、高次の視点から人間を平等に見る慈悲と智慧のあらわれである。


■解釈と現代的意義

この節は、「相手によって態度を変えないこと」「人を価値で差別しないこと」の大切さを説いています。
私たちは通常、敵には怒りを、味方には愛情を、立場によって態度を変えてしまいがちです。
しかし、真に成熟した人は、人の行為の背後にある同じ人間性を見つめる視点を持つのです。

これは現代社会における倫理・多様性・公平性の実践に直結する教えです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と適用例
マネジメント好き嫌いに基づいた評価を避け、実力と人間性に基づいて公平に接することが信頼される上司の条件。
ハラスメント防止背景・性格・立場の違う相手にも、一貫した態度で敬意をもって接することで、組織全体が健全になる。
顧客対応難しい顧客や不満を持つ相手にも誠実に対応できる人は、企業の「顔」としての価値が高い。
人材育成優秀な部下と未熟な部下の間でも、忍耐と平等な愛情で向き合える上司が、人を育てることができる。

■心得まとめ

「分け隔ての心を超えたとき、真の智慧が始まる」
誰が相手かによって心が揺れる――それは自然なこと。
しかし、すべての人に対して偏見なく接することができたとき、私たちは内面の自由を手にし、真のヨーガの高みに達する。
バガヴァッド・ギーターは教える――**「公平であることは、徳の最高峰である」**と。


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