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理と行を兼ね備え、心ゆるがぬ者こそ真の専心者


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■引用原文(日本語訳)

「理論知と実践知により自己が充足し、揺ぎなく、感官を克服し、土塊や石や黄金を平等(同一)に見るヨーギンが、『専心した者』と呼ばれる。」
(『バガヴァッド・ギーター』第6章 第8節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • 理論知(知識)と実践知(体験・実行)によって、自己が満たされ、
  • 揺るがない安定を得て、
  • 感官を制御し、
  • 土塊、石、黄金を同じものとして見る者――
  • そのようなヨーギンこそ、「専心した者(ユクタ)」と呼ばれる。

■用語解説

  • 理論知(ジュニャーナ):経典や教えによる知識・理解。頭で知る智慧。
  • 実践知(ヴィジュニャーナ):体験や実践によって得られる直感的知。体で理解する智慧。
  • 自己が充足する(トリプティ):外部に何も求めず、内面において満ち足りている状態。
  • 揺ぎない(アチャラ):動揺せず、安定している精神の状態。
  • 感官を克服する:五感を通じて外界に翻弄されない心の訓練と統御。
  • 土塊・石・黄金を平等に見る:物の価値や見た目にとらわれず、すべてに同一の本質を見る超越的な視点。
  • 専心した者(ユクタ):ヨーガにおいて精神の統一を果たし、心が整った修行者。

■全体の現代語訳(まとめ)

真のヨーギンとは、知識だけでなく行動によっても自己を深め、精神的に揺るがず、欲望や感覚の衝動を制し、外界の物質的価値にとらわれない者である。
そうした人物は、「心を一つにした者(ユクタ)」として称えられる。


■解釈と現代的意義

この節は、知識と実践のバランス、感覚の統御、そして物事に対する平等な視点という、ヨーガの成熟段階を象徴しています。
つまり、「知っている」だけでも、「頑張っている」だけでも足りず、深く理解し、それを日々実践し、なお心静かに在ることが真の完成者であるという教えです。
これはビジネスパーソンにも強く当てはまる現代的な価値観です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と適用例
知行合一理論やノウハウを知っているだけではなく、それを日常業務の中で実践・体現してこそ本物。
感情コントロール刺激や評価に振り回されず、内面の安定を持って仕事に臨むことで、ぶれない信頼を得られる。
公平な価値観役職・肩書・報酬など外的価値に左右されず、人や物事を「本質」で見る力が、マネジメントには不可欠。
真のプロフェッショナリズム誠実な実践者は、外部の変動に関係なく、持続可能で影響力のある働き方を実現できる。

■心得まとめ

「知り、行い、そして揺るがない者が、本物である」
情報を集めるだけでも、頑張って働くことだけでも足りない。
真の成熟とは、知と行を統合し、外界に惑わされない静かな心を持つことにある。
土くれも黄金も同じように見る――それは価値の喪失ではなく、真の価値を見抜く力の現れである。
バガヴァッド・ギーターは、「心の成熟」があらゆる成功の根源であることを私たちに示している。


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