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意図を手放してこそ、真のヨーガとなる


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■引用原文(日本語訳)

「放擲と言われるもの、それをヨーガと知れ、アルジュナよ。というのは、意図(願望)を放擲しないヨーギンは誰もいないから。」
(『バガヴァッド・ギーター』第6章 第2節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • 「放擲(サンニャーサ)と呼ばれるもの、それはヨーガであると知れ、アルジュナよ。
  • なぜなら、いかなるヨーギンも、意図(欲望・願望)を放棄しないで済む者はいないからである。」

■用語解説

  • 放擲(サンニャーサ):行為や欲望からの離脱・放棄。ここでは単なる行為放棄でなく、意図=執着・願望の放棄を意味する。
  • ヨーガ(ヨーガ):心と行動を統一し、精神の自由を目指す実践法。特に「カルマ・ヨーガ」が文脈にある。
  • 意図(サンカルパ):行為の動機や欲望的な意志。結果を求める気持ちや「こうなってほしい」という執着心。
  • ヨーギン:ヨーガを実践し、精神的自己統一を目指す人。欲望を手放した者こそ真のヨーギンである。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは「行為を放棄すること」すなわち放擲は、実はヨーガそのものであると明言する。そして、「意図(願望)を手放さない限り、誰も本当のヨーギンにはなれない」と説いている。
つまり、ヨーガとは単なる行動制限ではなく、「欲望・執着の内面的放棄」によって成立する精神修行である。


■解釈と現代的意義

この節は、「ヨーガ=意図の放棄」と明言することで、修行や精神統一とは外面的な行動ではなく、内面的な動機の整理・手放しにあると説いています。

私たちは仕事でも人生でも「こうしたい」「こうあるべき」という強い意図に縛られがちです。しかし、それが実は苦しみの源でもある。真に自由になるには、まず「意図(執着)」を観察し、そこから離れることが必要だという教えです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と適用例
目標管理目標を掲げること自体は良いが、それに執着しすぎると視野が狭まり、柔軟性が失われる。目標は道具であって、存在理由ではない。
リーダーシップ「部下にこうなってほしい」「評価されたい」といった意図を手放し、誠実に向き合うことが、真の影響力につながる。
意思決定利益や承認欲求にとらわれない意思決定は、長期的に信頼と安定をもたらす。ヨーギンの判断は静かで揺るぎない。
感情マネジメント感情は意図(こうなってほしい)から生まれる。感情の暴発を防ぐには、意図そのものを手放す視点が有効。

■心得まとめ

「ヨーガとは、執着のない心の在り方」
行動することは難しくない。けれども、意図――「こうあれ」「こうなりたい」という思い――を手放して動くことは、はるかに難しい。
しかし、それを成す者こそが、真のヨーギン。つまり、現代のプロフェッショナルに求められるのは、成果を求めて働くことではなく、誠実に働いて結果を委ねることである。


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