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📜 引用原文(日本語訳)
「あなたは定められた行為をなせ。
行為は無為よりも優れているから。
あなたが何も行わないなら、身体の維持すら成就しないであろう。」
(『バガヴァッド・ギーター』第3章 第8節)
🔍 逐語訳
「あなたは、自分に定められた(義務)行為を遂行しなさい。
行為は、無為(何もしないこと)よりも優れている。
なぜなら、あなたが何も行わなければ、自分の身体を維持することさえできなくなるからである。」
🧩 用語解説
- 定められた行為(ニヤタ・カルマ):自身の立場・役割・義務に応じて果たすべき行為。義務(ダルマ)とも言い換えられる。
- 無為(アカルマ):行動を意図的に避けること。行為の放棄、または怠惰な無行動。
- 身体の維持(シャリーラ・ヤートラー):生きるための基本的な行為や努力。衣食住の確保、健康維持などを含む。
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナはアルジュナに「なすべき行為を果たすべきだ」と促します。
なぜなら、行為を放棄しては何一つ成し遂げられず、生命維持すら不可能となるからです。
ギーターは「生きることは行為そのものである」と示し、義務としての行為の重要性を説いています。
💡 解釈と現代的意義
この節は、「何もしたくない」「すべてを放棄したい」と感じるときに対する力強い叱咤です。
生きている限り、私たちは何らかの責任・役割を持っており、それを果たすことが自然の法(ダルマ)にかなっていると説かれています。
何もしないことは見かけの平安かもしれませんが、自己の存在や社会とのつながりを損なう危険があります。
むしろ、自分の役割を見つけてそこに没頭することが、存在の価値を高める道なのです。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
職務意識の醸成 | 各人に任された業務や役割には意味があり、それを果たすことで組織も自分自身も生きている。職務放棄は単に怠慢ではなく、成長と維持の停止につながる。 |
行動の優位性 | 計画や構想だけでは何も始まらない。「まず動くこと」がすべての土台となる。 |
リーダーシップ | 組織を率いる者は、自らの役割(定められた行為)を率先して行うことで、模範と信頼を築く。 |
危機対応・モチベーション低下時 | 困難なときこそ「今、何を果たすべきか」に立ち返る。現状維持すら、放棄すれば崩壊につながる。 |
🧠 心得まとめ
「何もしない平安は幻想にすぎない。行為こそが生を支え、魂を磨く」
生きるとは、何かを為すこと。
それが社会的な義務であれ、家庭的な責任であれ、自らの役割を誠実に果たすことこそが、
内的な充足と成長をもたらす道です。
「自分のダルマ(役割)を全うすること」――それが、ギーターが説く行為のヨーガの核心です。
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